【出版業界】「猫ぐらし」「浦和レッズマガジン」を発行していたアスペクト・エス・ピー・シー破産 過去に印税未払い騒動も 

アスペクト・エス・ピー・シーなど破産 

 アスペクト・エス・ピー・シーなどの2社が、破産手続き開始を決定したことがわかった。3月23日の「官報」に情報が掲載されている。また、合わせて、アスペクトに関わっていた実業家の西和彦氏も破産宣告を受けた。西氏がTwitterで報告している。

 アスペクトはかつて「猫ぐらし」「浦和レッズマガジン」などの雑誌の制作・出版のほか、フリーペーパー「PR誌アスペクト」などを発行していた総合出版社。なお、2018年に破産手続開始決定を受けたゲーム会社・アスペクトとは別会社。

 アスペクトは1985年、アスキーの子会社として設立されたビジネス・アスキーがルーツで、1991年にアスペクトに社名変更。アスキーが出版する「ファミ通」の販売窓口となっていたほか、1995年にはアダルトゲーム雑誌「E-LOGIN」、翌年には「TECH GIAN」などを創刊。当時はWindows95の発売に伴う一般層にパソコンが普及し始めた時期であり、コンピューターゲームと美少女ゲームの隆盛とともに一時代を築いた。

 その後はファミ通文庫の創刊などにも関わったが、アスキーの関連会社の再編に伴い方向性を転換、一般向け書籍やムック本などの分野にも進出した。2000年代以降は総合出版社へと成長しつつあったほか、Webサイト「アスペクトONLINE」の運営や、2004年にはテレビ番組の制作にも参画するなど、積極的な業務拡大を行っていた。

 また、Webマガジンとして「織田哲郎Project2007」や「社会派くんがゆく!」「持たない暮らし」など、著名人の連載記事や対談記事を多数制作した。

 しかし、2018年7月3日 に「Business Journal」に掲載された松井克明の記事によれば、晩年のアスペクトは著者に対したびたび印税未払いを引き起こしていたという。単行本を何冊か出していた松井も未払いに巻き込まれている状態だったようである。

 ホームページは長らく更新されていない状態で、2019年からほとんど情報の更新がストップしているようだ。最新のトピックスが更新されている2019年2月時点で、健康、スポーツ、ファッション、サブカルチャー、小説、さらには風景写真集など、あらゆる書籍を出版していた。全盛期はライターや編集者にとっても魅力ある出版社と考えられていた同社だが、長らく出版不況に伴い、存在感の低下は否めなかったようである。

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