「マキノ出版」民事再生法の適用を申請  堅調だったシニア向け健康情報誌にも冬の時代到来か


 3月2日、(株)マキノ出版が東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。帝国データバンクが発表。2004年2月期に約36億1800万円を計上していた売上高は、2022年2月期には約14億5600万円と、半分以下まで落ち込んでいた。申請時点の負債は約15億7217万円という。

 マキノ出版は昭和49年(1974)に設立されたマイヘルス社を前身として、昭和52年(1977)に設立。昭和49年(1974)創刊のシニア向け健康雑誌「壮快」のほか、「安心」など健康情報を紹介するメディアに強みを見せていた。とりわけ、「壮快」は同社の看板雑誌であり、創刊以来、数々の健康法ブームを生み出し続けてきたパイオニアとして名高いが、近年の出版不況やインターネットの普及を受けて売上が減少していたという。

 なお、日本雑誌協会のページにデータがなかったため、「壮快」の最新の発行部数は不明。参考までに、NHK出版「きょうの健康」は9万8000部、主婦の友社「健康」は8800部となっている。いずれも、令和4年(2022)10月〜12月までの3ヶ月毎の平均印刷部数。

  マキノ出版のホームページを見ると、健康や、料理に関するムック本が多数出版されている。しかし、これらは今やネットで代替できる内容も多く、紙ならではの強みが発揮しにくかったといえるのではないか。また、出版業界では安泰とみられていたシニア層向けの雑誌やムック本だが、それらに強みを持つマキノ出版の民事再生法適用を受け、今後は冬の時代が到来することが予想される。

 シニア向け情報誌では「ハルメク」が定期購読の会員数50万人を突破するなど、独走状態にある。対して、雑誌「LEON」を立ち上げた編集者の岸田一郎が平成29年(2017)に創刊した「GG」は、1年経たないうちに休刊となった。もはやシニア向けの雑誌であれば、なんでも受けるわけではないとわかる。

 今月休刊に追い込まれたテレビ雑誌「週刊ザテレビジョン」などのテレビ雑誌も、テレビを視聴するシニア層が手堅い読者層だったとみられる。現在の高齢者がさらに年齢を重ねた10年後には、多くの雑誌が休刊に追い込まれそうだ。

 マキノ出版は実用情報誌「特選街」も発行していたが、令和3年(2021)に既に休刊となり、WEBに移行していた。あらゆる雑誌に言えることであるが、紙ならではの独自の誌面作りをしていかない限り、雑誌の維持は困難になると考えられる。今後雑誌はどのような活録を見出していくことが必要になるのだろうか。

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