学習参考書もエンタメ化? 美少女ゲームの原画家・樋上いたるが表紙を描いた「学参」がベストセラーに
現在、世間は 受験シーズン真っ只中であるが、そんな中である学習参考書がTwitterで大きな話題になっている。参考書のコーナーにはちょっと不釣り合いともいえる、大きな目をしたかわいらしい女の子の表紙。1990年代後半~2000年代の美少女ゲームを彷彿とさせるイラストだが、それもそのはず、この表紙はイラストレーターの樋上いたるが描いているのだ。
樋上いたるといえば『Kanon』『AIR』『CLANNAD』など、数々の美少女ゲームで原画を描いた巨匠である。上記の3作品は感動的なシナリオでも知られ、“泣きゲー”という文化を創り出したパイオニア的な名作。いずれも京都アニメーションでアニメ化された。現在、樋上はゲームメーカーのネクストンに所属し、新作美少女ゲーム『ONE』の原画を描いている。
30~40代の世代は、多感な時期や青春時代を樋上のイラストに触れて育った人も少なくないはず。ゆえに、この参考書は現在の受験生以上に筆者(38歳)世代に大いに刺さるのかもしれない。
なお、今回の参考書は、代々木ゼミナール物理科講師の漆原晃による『大学入試 漆原晃の物理基礎・物理[力学・熱力学編]が面白いほどわかる本』(中経出版)など3冊。表紙は美少女ゲーム風だが、中身はいたって真面目なしっかりとした参考書だ。ちなみに中経出版の参考書のシリーズには、リアルサウンドブックでインタビューを行っている兎塚エイジもイラストを描いており、なかなか素晴らしい人選だと筆者は思う。編集者の好みなのか、それとも著者の好みなのかは不明である。
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「このバカ犬~!」というセリフから、釘宮理恵の声が再生された人も多いのではないだろうか。オタク界に空前の“ツンデレブーム”…
悩みどころは、この参考書をどのようにして使うかだ。ちょっとこの表紙ではかわいすぎて周囲の目線が気になる、でもこのまま勉強すればキャラクターに応援してもらっているような気持ちにもなれる。しかし、表紙が汚れるのは残念だから保存用にもう1冊買っておくか……など、様々な想いを巡らせるのも楽しい。
また、樋上のあまりにかわいらしいイラストの魅力を堪能した人は、ぜひゲームをプレイしてみてほしい。画集も出ているのでこの機会に買ってみてはいかがだろう。樋上が描く女の子はなんといっても感情表現が素晴らしく、プロの漫画家やイラストレーターにもファンが多い。
また、学習参考書の奥深い世界を知るには漫画『ガクサン』がおすすめだ。学習参考書にまつわる様々なエピソードが紹介されている。既に社会人になった人も、あの頃手にした懐かしの参考書の世界に触れてみるのも面白いかもしれない。