“男性が描いた少女漫画”がプロの添削で劇的改善! 女性向け/男性向け作品の違いが明らかに
各種アプリやウェブサービスの隆盛により“掲載”の場が増え、より多くの作家が世の中に漫画を届けることができるようになった現在。もちろん、人気作家への道は険しいが、SNSでオリジナル漫画を発表してバズを起こし、商業連載につなげたヒット作も続々と登場している。同時に「独学」ゆえの悩みを抱えたクリエイターが少なくない状況だ。
そんななか、YouTubeチャンネルで創作漫画の「添削」を行い、絶大な人気を博しているのが、元週刊少年漫画誌の連載作家・ペガサスハイド氏だ。解説のわかりやすさとともに、相談者の長所を生かすアドバイスが心地よく、自分では絵を描かない人も楽しく視聴できるのが特徴だ。動画でイラストや漫画の添削を行うクリエイターは少なくないが、そのなかでも視聴者からの信頼が厚く、チャンネル登録者数は15万人を超える。
最新の添削動画は、「【漫画添削64】女性向け・男性向け漫画はここで決まる 〜プロ漫画家が教えます〜」と題されたもの。タイトルの通り、創作漫画の添削を通じて「女性向け/男性向け」の違いとターゲッティングのポイントを解説した動画だ。なんとなくのイメージはあっても、独学で言語化できるほど明確に噛み砕けているクリエイターは多くないのではないか。
今回取り上げられたのは、「男性でも読める少女漫画が描きたい」というイワシさんの作品。メイク動画をアップしているインフルエンサーの女性と、プロデューサーと思われる男性のワンシーンで、一見、とても上手に見える。ハイド氏も「少女漫画の雰囲気作りがとても上手で、女の子の好きそうな線や絵柄をよく研究している」と評価。背景より顔のアップが多いことも、女性読者のニーズをよく捉えているという。そこからどうすればステップアップできるのか。ハイド氏が実際にネームを描いて解説していく。
詳しくは実際に動画を観ていただきたいところだが、今回、ハイド氏は女性向けと男性向けの2パターンのネームを制作。女性向けのネームでは、あくまでインフルエンサーの女性を目立たせ、男性には、その肩に手を乗せて語りかけるなどそれとなく「女の子がしてほしい行動」を取らせている。また、オリジナルの作品においては「メイク動画の内容とその反響」に齟齬があるように見え、このあたりは「女性に聞いて確かめたほうがいい」と、ディティールに心を配るようアドバイスを送っていた。一方、男性目線のネームではプロデューサーを目立たせ、「その力でインフルエンサーを育てている」ことを強調。表情のアップを少なめにして、男性が好む背景ありのコマも配置する(カメラアングルにバリエーションをつける)など、細やかな調整が行われている。
これをもとに、ハイド氏は「女性に好まれる漫画」と「男性に好まれる漫画」のポイントをまとめて解説している。箇条書き的に説明するのではなく、そのポイントや技術が実際にネームに落とし込まれているので、漫画を描かない視聴者にもわかりやすい。普段、漫画を読む上でも知っておくと楽しい視点だ。漫画家を目指すクリエイターはもちろん、プロの漫画がどんな発想や仕組みで作られているのか知りたい人も、ぜひ動画をチェックしてみよう。
■参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=05qyfG7_blE