【ライトノベル最新動向】音楽コラボ小説が続々! Eve原作・プロデュース『いのちの食べ方』シリーズがランクイン

【ラノベ最新動向】音楽コラボ小説続々

 歌と映像によるコラボレーションの世界を小説化する動きは、じん(自然の敵P)による『カゲロウデイズ』があり、黒うさP(WhiteFlame) のボカロ曲を一斗まるが小説にした『小説千本桜』もあって、ライトノベルの中でひとつのジャンルを形成して来た。最近でもChinozo原作・監修で三月みどり著の『グッバイ宣言』(MF文庫J)や『エリート』(MF文庫J)がランキングにも顔を出し、音楽を入り口にして小説を手に取らせるルートとなっている。

 Rakutenブックスのライトノベル週間ランキング(1月2日~8日)で6位に『いのちの食べ方2』(MF文庫J)、15位に『いのちの食べ方1』(MF文庫J)が入った十文字青のシリーズも、TVアニメ『呪術廻戦』の第1期OP曲『廻廻奇譚』を手掛けたEveの楽曲を原作に、Eveプロデュースによって生まれた小説。第1巻では、「ひとつ目の男」が残していった「バク」という喋るバックパックを相棒にする中学生の弟切飛が人外に立ち向かう伝奇的なストーリーを、『薔薇のマリア』の十文字青がスタイリッシュに描いた。

 第2巻でも、共に人外が見える弟切飛と白玉龍子というペアが登場。やはり人外が見える浅緋萌日花という転校生が現れ飛と龍子に絡む。その一方で、保健室登校を続けている雫谷ルカナが、Sという名の謎めいた人物と協力して奇妙なSNSを作り、それに伴い学校内に人外が蔓延るようになって混乱が巻き起こる。思春期の少年少女が抱える悩みや不満をすくいあげ、伝奇バトルのような物語にして読ませるシリーズとして、同世代に強く刺さっているようだ。

 音楽にイラストや映像がつき、そこから小説へと展開していく動きにあの秋元康も注目しているようで、自身の原作を元にしたミュージック&ノベルプロジェクト『Bullets』を始動。konoco×こばしり。の楽曲MVが登場し、2022年12月には『惜日のアリス』の坂上秋成による小説版『Bullets』(角川スニーカー文庫)も刊行され、週間ランキングで129位に入った。少女が少年と出会い関係を深めていった最中に起こったある事件が、2人を《世界の最深部》を目指す逃避行へと向かわせる。ここではない場所を求めたい思春期の心を誘うストーリーだ。

 ランキング1位は大森藤ノの人気シリーズ最新刊『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか18』(GA文庫)、2位は商人と少女の姿をした賢狼の旅に商業的なエピソードが絡む支倉凍砂のロングシリーズ最新刊『狼と香辛料XXIV Spring LogVII(24)』(電撃文庫)、3位は異世界転移・転生物の人気を引っ張るシリーズの一角を占める長月達平による『Re:ゼロから始める異世界生活32』(MF文庫J)と、いずれもベストセラー作品の最新刊が並んだ。

 4位に入った暁佳奈『春夏秋冬代行者 暁の射手』(電撃文庫)は、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の作者によるシリーズの最新刊。過去2作では大和と呼ばれる和風の島国を舞台に、季節を司る代行者たちとその従者たちの物語を描いてきた。今回は日の出と日の入りを司る「巫の射手」のうちの「暁の射手」が登場。しとやかなお姫さまかと思いきや、従者となった弓弦という名の青年に命令口調で喋り、シートベルトを付けさせる尊大さが何とも愛らしい。

 5位は「このライトノベルがすごい!2023」で初の第1位に輝いた衣笠彰梧によるシリーズ最新刊『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編9』(MF文庫J)が2月25日の発売を前にランクイン。修学旅行を経て起こった変化が描かれる。

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