『週刊少年マガジン』 人気漫画家対談 『カノジョも彼女』ヒロユキ×『彼女、お借りします』宮島礼吏
「宮島先生が僕のことを勝手にネタにしてきたんです」
――まさに、週刊少年マガジンの目次のページが目の前で再現されているようで、感動しているのですが、先生方の漫才のようなコメントはどうやって決めているのでしょうか。
ヒロユキ:僕の中では、せっかくコメントを載せるのなら、面白くしないといけないという義務感があります。あまりにつまらないものを出すのは読者に対して忍びないということで、ずっとネタに悩んでいたのですが、あるとき、宮島先生が僕のことを勝手にネタにしたんですよ。
宮島:どうしてヒロユキ先生をネタにしたのかまでは……忘れてしまいましたけれど(笑)。
ヒロユキ:ただ、これを機に、他人のことを書いた方が面白いんじゃないかと思うようになって、コメントを書くハードルが下がったんです。今では、毎週月曜日にLINEでつまらないコメントを交換し合って決めています。
――読者からの反響はいかがですか?
ヒロユキ:あんまりないですね(笑)。たまにTwitterでエゴサーチをしてみると、この人たち何言ってんだ、と言われていることはありますけれど。
宮島:反響があっても、あくまでも年に2~3件でしょうか(笑)。
「宮島先生は人生すべてを漫画のために生きている」
――先生方が純粋に、楽しんでおられることが伝わってきます。とても仲良しな先生方ですが、普段から漫画家として、お互いを意識し合うことはあるのでしょうか。
ヒロユキ:宮島先生は人生すべてを漫画のために生きている方で、僕からすると、漫画の中に出てくる漫画家のイメージそのものだと思っています。宮島先生は漫画を描いているときが何よりも楽しいと言いますが、これは僕らが憧れる漫画家の姿そのものなんです。僕も漫画は好きですが、宮島先生と比べたらそこまで愛していないので、いつもすげーなあと思って見ています(笑)。単純に絵が上手いというのもありますが、本当に漫画のためにすべてを賭けているのがかっこいいですね。……いつかぶっ壊れるんじゃないかなと思っていますけれど(笑)。
「ヒロユキ先生の話は漫画家の成功論として聞いておく価値がある」
宮島:ヒロユキ先生は、これまでの連載作品がすべてアニメ化しているんです。この時点で凄いな、と思って見ていますよ。僕が漫画家としてやっていけているのはいろいろな巡りあわせがあって、実力以外にも運に支えられている要素が多いと思っています。でも、ヒロユキ先生は、そうではないと思うんですよ。
ヒロユキ:そうは言っても、僕も運は大きいと思っていますよ。でも、その確率を上げることを楽しんでやっているのかどうかの違いです。
宮島:それが成功しているからこその、アニメ化4回なんですよね。漫画家の仕事の仕方は人それぞれだと思いますが、ヒロユキ先生の話は聞いておく価値があると思います。
ヒロユキ:僕のやり方って漫画家として生きていく分にはいいんですが、真似したくないダサい部分が多いから、同じことをする人が少ないんだと思いますけれどね(笑)。
宮島:漫画家の成功論や方法論を、ずっと語っていますからね。正しいかどうかは別として、確実に役に立つことはおっしゃっていると思います。ヒロユキ先生の本はそこまで詳しく読んでいるわけではありませんが(笑)、おすすめですよ!
――せっかくですので、お互いの作品の好きなキャラクターを教えてください。ヒロユキ先生はやはり『彼女、お借りします』の水原千鶴ですか?
ヒロユキ:水原ですね。たぶん一読者として、僕は宮島先生が想定する典型的な読者の1人として読んでいると思います。
宮島:『アホガール』の花畑よしこですね。本当、ヒロユキ先生って、キャラがいちばん尖った状態を考えているのが凄いと思います。描き手側は、こんなことをしたら読者に嫌われてしまうのではと考えることもあるんですが、ここまで尖ったキャラクターを生み出せるのはかっこいいと思っています。
ヒロユキ:実は、めちゃくちゃ反応を気にしながら描いていますよ! どんなにキャラが尖っていても、読者から支持されなければいけないわけですから。
――ありがとうございました。先生方がとても仲が良く、お互いをリスペクトし合っていることがとくわかる対談になったと思います。最後に、次に発売されるコミックスの宣伝をお願いいたします。
宮島:29巻は水原の実家が出てきます。木ノ下和也が実家に行って、水原のパーソナルな部分やバックボーンに触れていきます。僕の感覚では、28巻でかなり2人の距離が縮まったと思っているのですが、29巻ではより深い関係になってくるはずのですので、お楽しみに!
ヒロユキ:13巻からは、ヒロイン1人1人とデートするくだりが始まります。1人ずつのデートシーンは今まで描いてこなかったので、読者のみなさんも向井直也のつもりになって、ラブラブな感じを楽しんでほしいです。また、13巻以降は物語が大きく動く予定なので、その予兆も楽しんでいただきたいですね。