『ボイステラス シックス』リアル音楽バトルがコミックと交錯 作画・猫屋敷「キャラがいつ脱落するか、ハラハラして描いてます」

変化していく物語をリアルタイムで体感

ーー各音楽ジャンルを象徴するように、尖った個性を持ったキャラクターがそろっていますが、描いていて楽しいのは誰ですか?

猫屋敷が描いたキャラクターの立ち姿。一際苦労したというデズが最初に脱落をしてしまった。

猫屋敷:作画のサンプルとして、最初に全員の立ち絵を描いたのですが、そのときは、デズ(デズモンド吾妻)に一番苦労したんです。体格のいい男性キャラクターは描き慣れていなくて。その分、愛着も出てきていてーー。

ーーそれが最初の山である「1stバトル」で、退場してしまうことになりました。

猫屋敷:本当に接戦だったので、誰が落ちるのかわからなくて。デズが落ちると決まったときは、「もっといろんなラップを聴いてみたかったな」と正直に思いました。ラップは普段、それほどよく聴くジャンルではないのですが、デズが歌う「GET THE TOWN」はカッコよさとともに親しみやすく、とても素敵な楽曲だったので。

ーー脱落後に過去が描かれており、そこで「残ってほしかった!」と残念がった読者も多かったと思います。「1stバトル」で、特にお気に入りの楽曲はありますか?

猫屋敷:どの楽曲もキャラクターごとの個性が出ていて、本当に素晴らしいなと思っています。1番を決めるのは難しいのですが、あえていうなら、オーディションの最終審査で歌われていた楽曲とのギャップが大きかった(春原)慈音の「超JUSTICE冷房」ですね。最終審査は切なさが強調された楽曲でしたが、今回はキャッチーでタイトルも面白く、耳に残る楽曲になっていて。どの曲にも中毒性がありますし、タイプの違う6人の楽曲を作られている山中さんは、本当にスゴイなと思います。

ーーどの曲も本当にクオリティが高く、これらの楽曲のイメージが、今後のキャラクター造形にフィードバックしていく部分もありそうですね。

猫屋敷:そうですね。「マンガだとこのキャラクターは好きではなかったけど、曲を聴いて好きになった」という趣旨のコメントもいただいていて、マンガと楽曲の相互作用で、キャラクターの魅力を深めていかれたらと考えています。

ーーちなみに、猫屋敷さんのルーツというか、影響を受けた漫画家さんはいますか?

猫屋敷:漫画家を目指したきっかけが、雷句誠先生の『金色のガッシュベル』なんです。キャラクターの表情、感情の表現が本当に素晴らしくて。泣きどころ、笑いどころが明確で、いつも感情を揺さぶられます。専門学校でお世話になった先生方、切磋琢磨した仲間たちはもちろんですが、こうして連載デビューをさせていただき、雷句先生にも感謝の気持ちでいっぱいです。

ーー本編は第11話(取材時点)まで公開されており、脱落が決まった参加者が「音楽を奪われる」ということが、具体的に何を意味するのかがいよいよ明かされる、というところで終わっています。今後に向けて、注目のポイントを教えてください。

猫屋敷:脱落者にどんな形でペナルティが課されるのか、というのは皆さんも一番気になっているところだと思います。音楽が奪われる方法、奪われたキャラクターのその後、それを目の当たりにした他の参加者たちのリアクション、その後楽曲制作への姿勢がどう変わっていくのか……と、楽しみにしていただきたいポイントがたくさんあります!

ーー読者としても、物語に主体的にかかわることができる分、「あり得た選択肢」を考え続けてしまったり。リアルタイムで読むことに価値がある作品なので、未読の方もこの機会に追いついていただきたいですね。

猫屋敷:そうですね。作画をしていても先の展開がわからないので、私自身も読者の方と同じように作品に向き合っています。ぜひリアルタイムで、『ボイステラス シックス』の世界を一緒に体感して欲しいです。

『ボイステラス シックス』
原作 :山中拓也(ゲームクリエイター/脚本家)・山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)
作画 :猫屋敷(ねこやしき)
URL :https://manga.line.me/product/periodic?id=Z0002165
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