ギャグ漫画界の奇才 おおひなたごう漫画家生活30周年「もっと社会に遊び心があったらいい」

バンドも大喜利も表現の手段

――おおひなた先生と言えば、漫画以外の活動も見逃せません。バンド活動をしていたこともありますね。

おおひなた:将来バンドか漫画で迷っていた時期もあるくらい、バンドは好きですね。表現という意味では共通しているので、別の考え方でやっているわけではないんですよ。ちなみに、バンドはRed Right Go!という名前で、1930年代の小編成のスウィングジャズみたいな感じでした。お手本にしたのはスピリッツ・オブ・リズムとキャッツ・アンド・ザ・フィドルというストリングス・ジャズバンドです。エンターテイメント性の高いアレンジにして、間奏でジャグリングをしたりタップダンスしたりと、見て楽しいバンドを目指していました。自分の中から湧き出るものを人に見せたいという想いは、常にあるんです。

――先生がイベントでやっているギャグ似顔絵も、ファンを楽しませたい思いにあふれています。

おおひなた:そもそも本来の似顔絵って、デフォルメして描くものですよね。僕は見たままに描いてしまうので、実は得意じゃないんですよ。だったら、ギャグを付け足して笑いをとろうと考えたのです。他にも「こたつDEサイン会」という、ファンと一緒にこたつに入ってサインをする企画もやりました。

――こたつで!? いったいどうやるんですか?

おおひなた:こたつにはちゃんと電気を入れて温めておいて、テーブルにミカンをおき、ドテラを着てファンを呼び込む、というものです。北海道でやったときは、僕がこたつの中に隠れていて、ファンが来た瞬間に飛び出して驚かしたりしてました。

――まるで、ギャグ漫画の世界を現実で再現したような演出ですね。

おおひなた:めちゃくちゃびびってくれて、狙い通りの反応をいただけました(笑)。

おおひなたが始めたギャグ似顔絵。ただ似顔絵を描くだけではなく、「キス」「大怪我」「ほっぺに人差し指」「まつ毛にマッチ棒」などの数あるメニューの中から、1つを選んで付け足すことができる。ちなみにこれは「肩に猛獣の手」である。


――おおひなた先生の代名詞といえるイベントが、「ギャグ漫画家大喜利バトル!!」です。

おおひなた:バッファロー吾郎さんが主催する「ダイナマイト関西」という大喜利イベントに出場することになったのがキッカケです。「ダイナマイト関西」は1000人規模の人を集めるビッグイベントです。これはちゃんと準備して出場しないと恥をかくことになるなと思い、予行練習をしようと思いました。そこでミクシイを使ってギャグ漫画家の皆さんに声をかけて始めたのが「ギャグ漫画家大喜利バトル!!」です。

――予行演習が本気のイベントになってしまったわけですか。

おおひなた:1回目の評判が想像以上に良くて、参加した漫画家さんたちも、またやりたいと言ってくださったんですよ。最初は阿佐ヶ谷ロフトでやっていたんですが、年々観客も増え、規模が大きい中野ZEROホールでやるまでになりました。

――合計4回を数えるイベントですが、ぜんぜんおおひなた先生が勝てていないのが印象的でした(笑)。八百長なしのガチな戦いなんですね。

おおひなた:そうですね、僕はたびたび初戦敗退していますね(笑)。しばらくお休みをいただいていますが、いつかまた開催して、今後こそは決勝まで勝ち残りたいという思いはあります。

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