『トライガン』新アニメ登場で振り返る、ガンアクションが凄かった「ヤングキングアワーズ」連載漫画

ガンアクションが凄かった「ヤングキングアワーズ」作品

 『トライガン』と『HELLSING』だけでも、濃密で迫力たっぷりのガンアクションが味わえた1998年からの「ヤングキングアワーズ」には、すでに1993年から激しいガンアクションと強くて可愛い女性キャラで魅せる漫画が連載されていた。伊藤明弘『ジオブリーダーズ』だ。

 中部地方にある綾金市にある神楽総合警備に採用され出社した田波洋一が見たのは、小柄な女性の菊島雄佳社長が化け猫に追いかけられ、ビルの窓を蹴破って飛び込んでくる姿。社長はボウガンで迎撃しながら化け猫をお札が貼られた部屋へと誘い込み、手にした小型PCを起動させて化け猫をフロッピーディスクに封印する。

 辞めたいと言っても辞めさせてもらえない田波が電車で移動している時、同じ電車に現れた化け猫を共同で追い込むことになったのが、同僚の梅崎真紀。女性だが男物のスーツで身を固め、「地獄はあたしの職場だぜ」と古い日本映画のセリフを口にしながらルガーP08を乱射する。

 後にモーゼルミリタリーM712を2挺持ち、化け猫相手の戦いに鉄砲玉として斬り込んでいく姿はアーカードやヴァッシュに負けない格好良さ。『ジオブリーダーズ 魍魎遊撃隊 File-X ちびねこ奪還』および『ジオブリーダーズ2 魍魎遊撃隊 File-XX 乱戦突破』と2作あるOVAでは、久川綾の声で動き暴れ回る真紀を見ることができる。気になったら探してみよう。

 化け猫が肉体を持たないデジタル情報体として描かれている点が、インターネット黎明期の1990年代には目新しかった『ジオブリーダーズ』。デジタルネットが世界に張りめぐらされた現代なら、化け猫も跋扈し放題となり神楽総合警備の活動の仕方も違ったものになりそう。ただ、第1部とも言える展開のラストで衝撃の結末を向かえ、第2部に入った直後の2008年、伊藤明弘の事情で連載が止まってしまう。

 再開される様子は見られないものの、現在は「ヤングキングアワーズ」に毎月、登場キャラクターのピンナップが掲載されて真紀や社長、格闘技が得意な蘭東栄子、インラインスケートで動きながら手榴弾とバタフライナイフで戦う桜木高見、操縦できない乗り物はなさそうな姫萩夕らの姿に触れられる。完結を諦めていない意思の表れと見て取るなら、『トライガン』の復活に並ぶ『ジオブリーダーズ』の再開も期待して良いのかも知れない。平野耕太は『ドリフターズ』の連載を可能な限り続けてくれるだけで今は十分だ。

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