『銃・病原菌・鉄』から『21 Lessons』まで、人類史や未来論がブームになった背景

『銃・病原菌・鉄』から『21 Lessons』まで、人類史や未来論がブームになった背景

 『銃・病原菌・鉄』で知られるジャレド・ダイアモンドの新刊『危機と人類』が10月に刊行され、『サピエンス全史』『ホモ・デウス』で知られるユヴァル・ノア・ハラリの新刊『21 Lessons』が11月に刊行される。

 2010年代以降、ダイアモンドやハラリのように歴史解釈や未来論についての重厚な書籍がヒットしている。

 人文社会科学系の本を好む読者層に届いているだけでなく、ビジネス誌でも『銃・病原菌・鉄』やウィリアム・H・マクニール『世界史』が

・『週刊東洋経済』
2011.11.26号「【特集 さらば! スキルアップ教】--PART2 教養 実践編 教養人になる方法」
2015.04.04号「【第1特集 世界史&宗教】--歴史観を鍛えるブックガイド--「グローバルヒストリー」入門」
2016.12.24号「【第1特集 ビジネスマンのための近現代史】--PART1 「いま」がわかる歴史の読み方」
・『エコノミスト』
2014.02.25号「〔特集〕世界史に学ぶ経済 PART2 これが世界史を変えた 大作を読む」

で取り上げられ、

・『週刊東洋経済』
2018.12.01号「【第1特集 データ階層社会】」
・『週刊ダイヤモンド』
2019.03.02号「特集 人類欲望史1万3000年で読み解く 相場 経済 地政学 今が全部 ヤバい理由」

でハラリやジャレド・ダイアモンドの本が大きく取り上げられるなど、なかば定番ネタと化している。

 これらはどのように括られ、人気の理由はどう語られてきたのか?

「世界史」ブームから「人類史」ブームへ

 ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』は2000年に邦訳された時点でいわゆる読書人には注目されていたが、爆発的なヒットになったのは2012年に文庫化されて以降である。

 2012年には網野善彦『日本の歴史をよみなおす(全)』(ちくま学芸文庫)、マクニール『世界史』とともに歴史本が流行し、「朝日新聞」2012.05.14東京夕刊「来し方・行く末、本に求め 日本史・世界史がブーム 文庫で手軽、震災後の時流映す?」や「産経新聞」2012.05.17東京朝刊「【広角レンズ】「世界史」本 なぜ人気 歴史の転換期…過去に学びたい」など新聞上でも取り上げられた。

 朝日新聞の記事によると「この十数年[引用者註:当時]で売れた歴史書は『日本社会の歴史』など、主に日本史を扱ったものが多かった。その中でオーソドックスな世界史概説書であるマクニールの『世界史』が売れたのは「画期的なこと」(中央公論新社販売促進部次長の東山健さん)で、女性や若い世代など、歴史書の新たな購買層が掘り起こされた可能性がある」とのことだった。

 これがハラリの『サピエンス全史』刊行後になると、「世界史」という括りから「人類史」ブーム、ないし「文理融合の歴史」人気という括りに変わっていく。

 「中日新聞」2017.01.24朝刊「記者の眼 盛り上がる「人類史」研究」では『サピエンス全史』を『銃・病原菌・鉄』、マクニール『世界史』と並べて「人類の通史をつづる」本とし、宇宙の誕生に始まる長大な歴史を、文系理系の知を融合して学ぶ「ビッグヒストリー」という授業も各国で広がる、としてデヴィッド・クリスチャンの試みを紹介する。

 ほかにも「産経新聞」2017.03.06東京朝刊「【広角レンズ】翻訳歴史本に新トレンド 世界成立の「なぜ」に文理融合で」などがほぼ同様の趣旨と本のセレクトの紹介記事として書かれている。

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