『ツワモノガタリ』『ブスなんて言わないで』『音盤紀行』……漫画ライター・ちゃんめい厳選! 5月のおすすめ新刊漫画

マグカン『おおきくて窮屈なこの世界で。』あすかいくに

自分らしく生きることや、居場所を作ることが今よりもはるかに難しかったであろう時代。そこで、真っ直ぐな好奇心を貫き、運命を切り拓いていく主人公・七星の姿に胸を打たれる。イタリアでは、生まれや育ちどころか、国も違う仲間たちと共同生活を送ることになるが、七星の真っ直ぐな好奇心がどんな友情を育んでいくのか見守りたい。また、読後は『おおきくて窮屈なこの世界で。』というタイトルに想いを巡らせたくなる......そんな余韻に浸りたくなるところも魅力の一つだ。
アフタヌーン『ブルーピリオド』(12)山口つばさ

12巻では、新入生の時期が終わり、晴れて2年生となった八虎。だが、進級と共に気持ちもフレッシュに!とポジティブ展開にならないのが『ブルーピリオド』だ。八虎は、新たな教授、仲間たちとの出会いをきっかけに、美術との関わり方、美大で学ぶ意味を自分に問い、もがき葛藤していく。予備校、受験、入学初期、どの時代も八虎は基本的にもがいていたが、今回の場合は、前進しているのか後退しているのかもわからない、ぬるりとした不安がつきまとう。
毎巻読み終わるまでにとてつもないエネルギーを使い、読後はまず「やばい」の一言しか出てこない本作。12巻を読み終わった時も、最初に出てきた言葉はやっぱり「やばい」だった......。






















