『ツワモノガタリ』『ブスなんて言わないで』『音盤紀行』……漫画ライター・ちゃんめい厳選! 5月のおすすめ新刊漫画

ちゃんめいが選ぶ5月刊行のオススメ漫画

 今月発売された新刊の中から、おすすめの作品を紹介する本企画。漫画ライター・ちゃんめいが厳選した、いま読んでおくべき5作品とは?

ヤングマガジン『ツワモノガタリ』細川忠孝 / 監修:山村竜也

 今もなお多くの人に敬愛される新選組。小説、漫画、ドラマ、映画の分野でたくさんの名作が生まれてきたが、“強さに一番リアルな新選組漫画へ”を掲げ、新たな名作を予感させる新鋭が登場した。

 その名も『ツワモノガタリ』。新選組隊士たちが幕末最強の剣客について語り合う物語だ。本作では、新撰組や幕末の剣客たちの強さにとことんこだわり、その強さの裏付けとなる”剣術”を鮮烈に描く。ちなみに、剣術シーンは今も残る各流派の道場を往復し「もしもこの技を受けたらどう返すか?」と聞くなど、膨大な取材のもとに生み出されているのだそう。入念な取材、構想によって生み出される大迫力の剣術シーンは必見。

&Sofa『ブスなんて言わないで』とあるアラ子

 ーーずっと容姿を蔑まされてきた。美人だからと勝手なイメージを押し付けられてきた。容姿いじりをネタにしてきた......。登場人物それぞれの視点からルッキズムの残酷さ、根深さを描いた『ブスなんて言わないで』。

 主人公は、ブスと罵られ、学生時代にいじめを受けていた知子。大人になって、自分をいじめていた美人の同級生・梨花が美容家として成功していることを知り、彼女への復讐を決意する。一見すると復讐劇のように感じるが、それぞれの登場人物目線でのルッキズム、それを生み出す社会構造をあぶり出す意欲作となっている。ルッキズムがもたらす悲しみ、果てしない怒り......。登場人物たちの表情、セリフ全てに心を揺さぶられる。

青騎士『音盤紀行』毛塚了一郎

 時代や国境を超えて、レコード(音盤)が繋ぐ“記憶と想い”を描いた短編集『音盤紀行』。作者・毛塚良一郎先生にとって、本作が漫画「青騎士」でのデビュー作にして、単行本デビュー作となった渾身の一冊。

 レコードから流れる音楽や歌詞ではなく、あくまでも”レコード”が主題となっているところが面白い。例えば、祖父が遺したレコードの思い出を辿る少女や、自由に音楽を聴けない時代・国で禁制のポップミュージックを扱うレコード店の物語など......。以前よりも見かける機会が少なくなってしまったレコードだが、そこから生まれる色褪せない物語の数々に魅了される。また、ずらっと並んだレコードの棚などの、細部まで美しい描写にも注目してほしい。

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