黒子テツヤ、藤崎佑助(ボッスン)、沢田綱吉(ツナ)……一見平凡な主人公の活躍にカタルシスを感じる漫画たち
『家庭教師ヒットマンREAORN!』沢田綱吉
一見すると“平凡”ーーいや、それどころか“ダメダメ”とも思えるキャラクターがスポットライトを浴びる作品も多く存在する。その好例と言えるのが、『家庭教師ヒットマンREAORN!』の「沢田綱吉(以下、ツナ)」だ。
イタリアンマフィア「ボンゴレファミリー」の10代目候補であるツナは入学以来テストで赤点をとり続け、クラスメイトから“ダメツナ”と言われていた人物。しかし公式に行われたキャラクター人気投票(全5回)において1位に3回も選ばれている。
なぜ“ダメツナ”とも言われるツナが人気を獲得しているのだろうか。その理由として戦闘時に垣間見えるツナのクールな一面が大きく影響しているだろう。
仲間がピンチの際には死ぬ気で助けようとするツナは、日常を過ごす際に見られる表情や印象とは大きく異なる。コミックス16巻「標的143(第143話)覚悟」において、クラスメイト「笹川京子」の前に現れた未知の敵に対し「君は…/守ってみせる/オレの…/命にかえても」という台詞を発した場面はファンにとって印象深いシーンであるはずだ。
『僕のヒーローアカデミア』の緑谷出久にも近いところがあるが、いつもの不器用で優しそうな雰囲気、そしていざというときに見せるクールな一面のギャップこそ、ツナの大きな魅力として挙げられる。
『ドラえもん』大長編(映画版)の野比のび太など、一見すると平凡にも見えるキャラクターが立ち上がる様子は、わたしたちに多くの感動を与えてきた。あくまで平凡であり続けるキャラクター、のちに覚醒するキャラクターなど、行く末はさまざまだが、漫画の数が増えていくなかでも、読者の共感を呼ぶ等身大の主人公が活躍する物語は、今後も生み出され続けるだろう。