友情・努力・勝利! 『王様ランキング』『金色のガッシュ!!』少年漫画の熱いバディ4選
「週刊少年ジャンプ」作品の三大原則として知られる、「友情・努力・勝利」。努力と勝利は概念として結びつきやすいが、そのなかで「友情」は、「努力」する日々を支え、「勝利」のよろこびを何倍にも大きくする、少年漫画に欠かせない要素だ。本稿では、主人公とパートナー(もしくはふたりの主人公)の友情、関係性が魅力的に描かれている作品を振り返りたい。
『王様ランキング』ボッジとカゲ
2021年10月にアニメ放送が開始され、“2021年秋アニメ”において満足度1位に選ばれた『王様ランキング』(1)。漫画ファンの記憶に新しい本作を語るうえで、素直で器の大きい主人公「ボッジ」と、捻くれものだがボッジを全力で支える「カゲ」の存在は欠かすことができない。ふたりの仲睦まじい様子や、互いを助け合う姿は見る者の心を温かく、それ以上に熱くさせた。
美しい友情のかたちを体現するふたりであるが、カゲに出会う前のボッジは“ダメ王子”とも言われるほど家来や民衆から信望の薄い王子であった。対するカゲも家族を失い、盗みを繰り返しながらひとりで暮らしていた過去がある。互いの孤独を埋め合う境遇もあいまって、ふたりが見せた友情は多くの人に感動を与えている。
『金色のガッシュ!!』ガッシュ・ベルと高嶺清麿
2000年代に一世を風靡した作品であり、2022年3月には続編の配信も開始され大きな話題となった『金色のガッシュ!! 』。魔物と人間がタッグを組んで戦う本作における代表的なコンビといえば、魔物の子どもであり天真爛漫な「ガッシュ・ベル」と天才的な頭脳をもつ「高嶺清麿」であろう。
“やさしい王様”になることを目指し協力するふたりであるが、魔界にいたころのガッシュはいじめられることが多かった少年であり、ガッシュに出会う前の清麿も「なんのために生きてんだろな…」と口にし学校をサボるほど無気力な日々を過ごしていた。そんなふたりが互いに影響を与え合い周りが驚くほど変化していく過程は、だれかと時間を共にすることの価値を感じさせてくれる。
『家庭教師ヒットマンREBORN!』沢田綱吉とリボーン
対等な関係性の友情もさることながら、『家庭教師ヒットマンREBORN!』で描かれたのは上下関係があるなかで生まれるパートナーとの信頼のかたちだ。本作は勉強もスポーツも苦手であり同級生からは“ダメツナ”と呼ばれる「沢田綱吉」が、家庭教師である「リボーン」と日々を過ごすなかでイタリアンマフィアのボスを目指す日々が描かれる。
作中においてリボーンは最強の殺し屋として描かれるものの、直接手を出すシーンは非常に少ない。その例として29巻「標的276 共鳴」で作中屈指の強さを誇るキャラクターと対峙した際、体力が尽きたツナが地面に伏しながらもリボーンは「お前を倒すのは(中略)ツナだ」と口にした。ツナを立派なボスにしたいという思いを抱くリボーン、そして彼の思いに共鳴するかのように拳を振るうツナの姿からは、上記の作品とはひと味違ったパートナーとの関係を感じられる。