「ジャンプ+」で話題沸騰! 魔法少女×お仕事マンガ『株式会社マジルミエ』が新しくておもしろい
魔法少女と自己実現
本作の秀逸な点は、変身願望を描く魔法少女ものと、仕事を通じた自己実現を結び付けた点だ。
魔法少女ものとは、女の子がなりたい自分になれる夢を描くもの。その願いを、実社会に近い世界観に落とし込み、就活生の悩みと繋げることで、「お仕事もの」としても、「魔法少女もの」としても秀逸なものとなっている。
自分がなりたいものは何なのか、自分にできることはなんなのか。社会に出る前からそれがわかっている人間などいない。それを知るためにこそ、私たちは仕事をする。現実社会では、魔法の一振りでなりたい自分に変身できるわけではなく、一歩ずつ自分にできることを学んでいくしかない。その一歩ずつの学びがこの作品では大切に描かれている。
社会には、いろんな人がいる。いろんな人がそれぞれの持った能力を活かして社会は回っている。カナの務めることになるベンチャー企業は、人数は少ないが、それぞれが全く異なる長所を活かして活動している。大企業になるとそのことが見えづらいかもしれないが、本当は大きな会社も、そして社会全体もそのように一人ひとりが必要とされているはずなのだ。
仕事をするというのは、そういうことを学ぶ機会なのだと筆者は思う。生活のためだけじゃない、人が仕事をする理由がしっかりと描かれている本作は、これから社会人になる人も、今社会人の人も勇気づける力を持っている。