『ザ・ファブル』アキラに憧れるクロは作中の清涼剤? 天然だけど義理堅い、その魅力を考察

※本稿は『ザ・ファブル』並びに『ザ・ファブル The second contact』のネタバレを含みます。

 組織に“殺し”を禁じられた伝説的殺し屋のドラマを描き、サスペンスとコメディの絶妙なバランスで人気を博している漫画『ザ・ファブル』(『ザ・ファブル The second contact』)。主人公のアキラ(佐藤明・偽名)を筆頭に、魅力的なキャラクターが数多く登場するが、読者の癒しになっているのが真黒組の若い衆「クロ」こと黒塩だ。本稿では、そんなクロの魅力を検証してみたい。

アキラへの純粋な憧れ

 クロはアキラが元レスラーの男を一瞬で倒してしまう場に立ち合い、その強さを見せつけられたことで、アキラに心酔する。また、アキラの「スゴ技」を人づてに聞き、鼻をひくひくさせながら興奮するようになった。強いものに憧れる純粋な少年のような性格が、彼の魅力のひとつだろう。

 不審がる真黒組の命を受け、アキラを襲撃しようとしたものの、逃げられてしまった子分の高橋と元キックボクサーの男に話を聞いた際には、「高い橋の上から飛び降り、その後、普通に走っていった」という超人的なエピソードに感銘を受け、「俺だって」と即座に真似をすることに。当然のように重傷を負い、「アカン、やってしもうた。ヤバイ、俺、死ぬかも…」と心のなかでつぶやくクロに、癒しを感じた読者は多かっただろう。

 橋から落ち、怪我のため入院したクロ。退院すると、若頭の海老原が運転する車へ乗り込む。そこで「殺し屋でもなりたいんか、お前。佐藤の影響やろ」「脳みそがぶっ飛んたやつがやる仕事や。俺ら裏稼業のさらに闇のクソ溜めの部分や。ああいうもんは、なるもんちゃう。利用するもんや」と釘を差される。

 しかしクロのアキラと殺し屋への憧れは消えることがなく、アキラのスゴ技を目撃した人にその技を聞いて興奮することを趣味とし、『ザ・ファブル The second contact』として新展開を迎えている現在も、その行動を継続させている。

天然な一面も

 レクサスをアキラに譲り、それまで貸していた愛車・ハコスカを取り戻そうとした海老原。クロにキーを持ってくるよう指示するが、ハコスカはある事件で崖から落ち、故障してしまっていた。

 そんななかでクロは、海老原の指示を勘違い。海老原のマンションに戻ると、「キーを持ってこい」という“指示どおり”に、「ハコスカのキーです。どうぞ~~♪」とキーを渡す。海老原が「俺のハコスカは今どこや?」と聞くと、「大丈夫です、しっかりとスクラップにしておきました」と笑顔を浮かべる。

 この行動に海老原は「思い出のプレミアムカーやぞ。修理するやろ普通!」と激怒。クロはレクサスの経費をすべて負担させられたうえに、顔を殴られてしまった。後に真黒組の組長となる海老原の指示を忠実に聞くクロ。ハコスカの件では激怒し、手を出した海老原だが、それでもクロを「憎めない」と感じているようだった。

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