『ザ・ファブル』佐藤洋子はなぜ圧倒的な人気キャラに? その奥深い魅力を考察
『ザ・ファブル』の主人公・佐藤明の殺し屋としてのパートナーであり、妹という設定で生活をする佐藤洋子。その人気は高く、明を凌ぐとの声もあるほどだ。
今回はそんな彼女の魅力に迫ってみたい。
※本稿は『ザ・ファブル』のネタバレを含みます。
洋子が乗り越えてきた暗い過去
洋子を語るうえで避けて通れないのが、乗り越えてきた暗い過去である。10歳の頃、両親を山岡に火災を装って殺され、ボスに引き取られると同時に、殺し屋としての訓練を受けたことが、劇中で明らかになっている。
両親のことは幼いながら鮮明に覚えており、5歳のクリスマスにサンタクロースがいないことを理解していながら「気づかないふり」をして、プレゼントを受け取ったことを明に告白した。
明との生活では酒に溺れながらも明るく振る舞っている洋子だが、通ってきた道は、必ずしも明るくはない。
常人離れした格闘能力
ボスのもとで厳しい特訓を受けた洋子は、その格闘センスも非常に高い。明に妹がいることを聞きつけ拳銃を持って家にやってきた鈴木が襲いかかってきた際には、6秒で返り討ちにしている。
また、山岡がアザミとユーカリの練習台と称して雇った半グレで、地下総合格闘技王者の通称・スズムシが殴りかかってきた際にもあっという間にKOした。一方で兄という設定になっている明には股間を蹴られて痛がるなど歯が立たず、親を殺した山岡に襲いかかるも返り討ちにされてしまった。
格闘センスはかなり高く、劇中の登場人物でも屈指だが、超一流の明や山岡には及ばない。本人もそのことを自覚しているようだった。また、山岡は明が10点だとすれば洋子は5点と称していた。
銃器の扱いに精通するも……
常人離れした記憶力と格闘センスを持つ洋子。銃器の扱いにも精通し、真黒組の海老原から預かった拳銃「ルガーP08」を組み立てることに成功している。
1巻で殺人の仕事をした明を車で送り迎えしていることから、パートナーとして送迎役を担ってきたものと見られる洋子だが、実際に人を殺したことはなく、鈴木にそのことを見破られた。
明に勝負を挑むなど、ファブルの一員としてプライドを持っている様子の洋子だが、山岡との決戦では「私が銃を持つと周りに迷惑をかけるみたい」と、銃を捨てる。その後、彼女が第三者に銃口を向けることはなくなった。
明やアザミ、ユーカリ、山岡、そしてボスは人間の命を軽視する傾向があり、簡単に殺してしまうシーンもあった。そんななかで洋子だけは殺人の経験を持っていない。
アルコールに強い
記憶力と格闘能力に加え、洋子が持つ特殊能力がアルコールの強さである。下心を持つ男をアルコールで潰して楽しんでいる節があり、高橋はバーに誘われ喜び勇んで酒を飲むと、簡単に潰された。
さらに遊び人の河合ユウキ(通称ペ・ダイヨチャ)に至っては、心を見透かされ酒を飲まされ急性アルコール中毒で救急搬送される、テキーラをさんざん飲まされトイレで嘔吐し、様子を見に来た洋子に「ペ、ダイヨチャ(大丈夫洋子ちゃん)」と返答するも失神するなど、散々な目にあっている。そんな様子を見て洋子はケラケラと笑っていた。ドSである。
そんななかただ一人洋子におもちゃにされなかったのが、明が勤務するデザイン会社・オクトパスの田高田社長。洋子の自宅で行われたクリスマスパーティで案の定飲まされトイレに駆け込んだが、泥酔しながらも寝たふりをする洋子を布団まで運び、男気を見せたのだ。
以降、洋子は田高田社長をタコちゃんと慕うようになる。第二部でも日本酒を持って家を訪れ、酒を酌み交わすシーンがあった。