大反響となった『妻、小学生になる。』創作のルーツとは? 漫画家・村田椰融の作家性を紐解く

『妻、小学生になる。』のルーツ

『妻、小学生になる。』の裏側にある物語

 村田氏は音声配信サービス「AuDee」で公開されている番組『僕、漫画家になる。』で自身の過去について明かしている。

 多くの作品を発表している村田氏であるが、本格的に漫画作品を描き始めたのは25、6歳のときであった。当時は洗濯機ではなく家の風呂場で洋服を手洗いしていたらしい。

 成功と挫折を繰り返しながらも漫画創作を続け、『妻、小学生になる。』がネーム(コマ割りや構図を記した下書きのようなもの)を対象とした賞に選ばれたのである。受賞後には『週刊漫画TIMES』での連載が決定し、単行本も発売されることになった。

 ただ村田氏はこのとき、自身の作品が誰にも知られないまま終わってしまうかもしれないという不安を抱えていたという。眠れぬまま迎えた第1巻の発売日、村田氏は本作の第1話をTwitterに投稿した。

 すると村田氏が持つデバイスの通知音が鳴りやまないほどの大きな反響を呼び、400人ほどだったTwitterのフォロワーが投稿後には約19,000人にまで増えたのだという。今ではドラマ化を果たし、2022年2月16日には記念すべき単行本第10巻の発売が予定される作品となったのである。

 1度きりの人生で自分の好きなことを追い続けてきたからこそ、村田氏は『一〇〇一回目の命日』や『妻、小学生になる。』のような、人生に希望を持つことのできる、または1度しかない人生を俯瞰させてくれる作品を生み出せたのであろう。

 ちなみに村田氏は自分の作品がドラマ化されるのであれば、とある女優の方に出演してほしいという思いを抱いていたのだという。その女優の人物像から家族をテーマとした作品なら出演してくれるかもしれないと考え、家族を題材とした『妻、小学生になる。』を創作した背景に存在していたことも明かしている。

 村田氏の個性を感じる創作の背景も、家族の様々な問題を題材とした物語でありながら、気を張らずに楽しめるライトさ、多くの人が親しみやすさを覚えられる点につながっているはずだ。

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