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【今月の1作】オススメの恋愛&ラブコメ漫画特集 連載中の注目5作品を紹介
『黒岩メダカに私の可愛いが通じない』久世蘭(講談社)
近年で良質なラブコメを数多く送り出している「週刊少年マガジン」で、いま最も勢いのある作品のひとつが『黒岩メダカに私の可愛いが通じない』だ。
「息をするようにモテる女」こと、ヒロインの川井モナ。その魅力に男子生徒だけではなく、女子生徒も夢中になっているなかで、ただ一人、まったく興味を示さない男がいた。転校生の黒岩メダカ。彼は「寺の息子」であり、“女子と仲良くしてはいけない”のだ。そんなことは知る由もないモナは、これまで自分にオチない男に出会ったことがない経験から、それが許せない。猫なで声、お色気大作戦など、どんな作戦を展開しようとも、黒岩はオチないどころか、そんなモナを睨みつける。モナの“可愛いが通じない”ーー。
そんな理由で、モナが黒岩を「オトす」ために孤軍奮闘していくラブコメディ……と思いきや、この物語はそのワン・アイデアにとどまらない。同級生・春野つぼみや、モナとライバル関係になる後輩・湘南旭の登場で、今まで「オトす」ことしか知らなかったモナが、ある「感情」に目覚めていく。それはぜひ本作を読んで確かめてもらいたい。
もちろんコメディ作品としても面白く、“笑い”の要素を支えているのが、モナの愛らしい二面性だ。普段は標準語、心のなかでは関西弁、という言葉の使い分けによりうまく表現されているが、これが読んでいて楽しく、愛おしさが増してくる。それぞれの勘違いやライバル意識から生まれる事件やイベントもよくできており、読者を飽きさせない。モナと黒岩の関係はもちろん、それぞれにキャラクターの立った登場人物たちの今後も楽しみに見守りたいところだ。(佐々木康晴)