『ミステリと言う勿れ』永山瑛太が演じる「熊田翔」の正体は? 久能整と対比的な役割を考察
※本稿ではドラマ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)第3話「episode. 2 後編」、原作コミックス第2巻までのネタバレを含みます。ご注意ください。
ドラマ放送前から大きな話題を生み、2022年1月には第67回小学館漫画賞の一般向け部門に選ばれた『ミステリと言う勿れ』。2022年1月24日にフジテレビ系列で放送されたドラマ第3話「episode. 2 後編」では、永山瑛太が演じる「熊田翔」の存在がSNSで大きな反響を呼んだ。
熊田は本作の主人公「久能整」と共に物語の中心人物として描かれるキャラクターである。しかし作中ではまるで浮雲のように各地を転々としながら、整の目の前に現れたかと思えばすぐにその姿をくらます。どこかミステリアスな雰囲気が漂う熊田の人物像について、本稿で振り返っていきたい。
熊田翔の正体と抱く思い
第1巻「episode2【前編】会話する犯人」において、ナイフを手に持つ男に乗っ取られたバスの乗員として登場した熊田翔。互いにバスジャックの目的を推測するなど、同じバスに乗り合わせていた整と交流する姿が見られた。
第2巻「episode2【後編】犯人が多すぎる」にて、実はバスジャックの首謀者であることを乗客に明かし、整の推理によって本名が「犬堂我路(いぬどうがろ)」であることが明かされた。
我路がバスジャックを図った目的は、姉である「犬堂愛珠」を殺害した犯人を見つけること。自身の姉が最初の被害者となった連続生き埋め殺人事件の容疑者たちを観察することで、犯人の手がかりを探していたのである
なぜ我路はバスジャックを計画してまで犯人を突き止めたかったのか。我路は物語の終盤で整に姉への思いを口にした。
最悪の暴君 女王様 小さい頃から病弱で 親の関心独り占めで わがままで乱暴で こんなヤツ死んじまえって 何度思ったことか
我路は姉の存在にネガティブな感情を抱いていた。しかし我路は言葉を紡ぎ続ける。
人を支配したがる女だった 何もかも手に入れたがる女だった はた迷惑だった でも 愛してた
作中で自分の欠点を聞かれた際に「執念深いところ」と答え、人を殺してはいけない理由として「残された人が悲しむから」と話した我路。我路は「episode2」において熊田翔という名で自身を偽っていたものの、ふたつの答えは我路の抱く思いそのものであったはずだ。