アニメ化で注目『うる星やつら』にはラムちゃん未登場の回も? 原作漫画のトリビア3選
36年の時を経て再びTVアニメ化されることが決定した『うる星やつら』(高橋留美子)。本作は、なぜか色々な災いを呼び寄せてしまう男子高校生・諸星あたると突如地球に舞い降りた鬼族の女の子・ラムが織りなすハイテンションラブコメディで、今回のTVアニメでは、主人公の諸星あたるを神谷浩史さん、そしてラムを上坂すみれさんが演じる。
さらに、TVアニメ化を記念して小学館の漫画アプリ「サンデーうぇぶり」では『うる星やつら』の原作10巻分が1月12日まで無料公開されている。本作は1978年〜87年の間に連載されていた作品であるため、世代ではない方にとっては原作を読み直す絶好のチャンスである。そこで、今回は知っておくと『うる星やつら』を読むのが楽しくなる......!? そんな原作にまつわるトリビアを3つ紹介していく。
ラムは1話限りのキャラクターだった!?
『うる星やつら』といえば “〜だっちゃ”という口癖でお馴染みのラムを思い浮かべる方も多いことだろう。だが、本作を読み直すと意外な発見がある。
ラムの初登場は1話「かけめぐる青春」。ある日突然、宇宙人である鬼族が地球侵略を仕掛けるところから物語は始まる。鬼族は地球人と「鬼ごっこ」を行い、地球人が敗れた場合は地球を占領すると宣言するのだが、この地球の命運が賭かった「鬼ごっこ」で双方の代表を務めたのがラム、そして諸星あたるだったのだ。 『うる星やつら』といえばラムと諸星あたるの恋愛のイメージが先行しがちだが、令和の今1話を読み返すと恋愛要素は皆無であり、少々過激な描写や独特なギャグが際立つ。
結果、諸星あたるは「鬼ごっご」に勝利し地球は鬼族からの侵略を逃れるが、ひょんなことから懐かれてしまったラムとの終わりのない「鬼ごっこ」が始まる。この流れだと当然、2話でもラムが登場しそうだが、なんと2話「やさしい悪魔」にはラムが登場しないのだ。
これに関しては高橋留美子先生が画業35周年を記念したロングインタビューで「ラムは当初、1回限りのゲストキャラのつもりだったんですよ。1話に出て、2話には出ていない。3話に出したのは、実は苦しまぎれ(笑)」と語っている。そもそも『うる星やつら』は、5話短期連載の予定であり、なぜか色々な災いを呼び寄せてしまう諸星あたるが、次々と怪異に見舞われていくオムニバスのイメージで始めたそう。その裏話の通り、2話ではどこか憎めない小さな悪魔が登場し、諸星あたるの日常を掻き乱す。今となってはラムが登場しない伝説回となった2話はぜひとも読んでみてほしい。
同じタイトルが2回登場する
一つの作品の中で同じタイトルが登場することは、続きもののエピソードではない限り滅多にないことだろう。だが、『うる星やつら』には同じタイトルが2回登場する。それが、123話「セーラー服よ、こんにちは!」と148話「セーラー服よ、コンにちは!!」である。
前者は諸星あたるが面堂了子に連れ去られてしまい、ラムや面堂終太郎が諸星あたるを取り戻すために奮闘する物語で、後者は諸星あたるたちが通う友引高校に転校してきた藤波竜之介がセーラ服の着用を賭けて父親と戦う物語である。
藤波竜之介というキャラクターは、本当は女性であるが父親に男として育てられたという背景を持つ。そのため、転校先の友引高校でも男子用の制服を着るよう父親から強制されるのだが、本当はセーラー服を着たい......。なぜ、123話と148話が同じタイトルになっているのかは不明だが、148話の「セーラー服よ、コンにちは!!」は、藤波竜之介の”セーラー服コンプレックス”を略した「セラコン」というキーワードが隠れている。