『王様ランキング』ボッジの声が聞こえるキャラの共通点は? 優しさ溢れる設定を考察
カゲが母親に、ミツマタがベビンに抱きしめられた過去を想起するシーン。彼らと共にヒリングの護衛を務める「ドルーシ」は、ボッジが母親、そして義母であるヒリングに抱きしめられる光景を想像する。ヒリングの胸でまるで胎児のようにうずくまり、彼女の洋服をギュッとつかむボッジ。その姿はボッジがヒリングを抱きしめているようにも見える。
母親を亡くしたボッジの義母となったヒリング。人見知りをして、母親のお墓によく足を運んでいた幼き日のボッジに対し、ヒリングは毎日スキンシップをとり、手話を練習して距離を縮めようとした。しかし、ことごとく失敗する日々を過ごし、ときに「私ってダメね」と嘆いた。ヒリングの洋服をギュッとつかむボッジを目にした彼女は、抱きしめてもらったボッジと同じくらい、もしくはそれ以上に、あたたかな気持ちを覚えたはずだ。
だれかに抱きしめてもらった過去をもつカゲとミツマタ、ボッジ、そしてヒリング。ボッジと会話できることは、もしかしたらだれかに抱きしめられた、だれかの優しさを体感した過去を象徴しているのかもしれない。
ボッジとカゲ、ミツマタの3人には、だれかに襲われたり、馬鹿にされたりなど、よわい存在であった過去があるという共通点もある。最新刊であるコミックス11巻(2021年11月現在)までのエピソードでは、ヒリングがよわい存在であったことを示唆する過去は明かされていない。
もしもボッジと会話できることが、だれかに抱きしめられた過去と共に、だれかに傷つけられた過去も象徴しているのなら。ヒリングの更なる過去が明かされた際には、ときに人につよく当たってしまうけれど、愛情深く、だれよりも息子たちをつよく思うヒリングへの共感の声はより多く、より大きくなるだろう。