成長のために不幸を選ばなくてもいい 『3月のライオン』が教えてくれる気付き

『3月のライオン』が教えてくれる気付き

苦しみがなくても、強くなってみせたいという想い

 親友の二階堂は懸念していた。零が幸せになることで、将棋だけに没頭できなくなるのではないか。幸せになることによって強さを手放すのではないか。

 「苦しみをバネに」は、将棋に限らずいろんな場面で考えられがちなことだ。不幸なほうが強い。不幸や憎しみを戦う原動力に変えることができるから。しかし、二階堂は考える。苦しみをバネにしないと強くなれないのなら、それまでの実力。全力で別のルートを探して強くなって見せる、と。そして気がつくのだ。零もまた、別ルートを探し始めたのだということを。

 二階堂の気づきと共に、読者もようやく「それでいいんだ」と息をつくことができる。16巻を読みながら、ずっと「どうか不幸を選ばないで」と願っていた。人は幸せになったら、そのまま幸せでいていい。不幸を選ぶ必要はない。幸せなまま、強くなる方法を探せばいいのだ。

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