『金色のガッシュ!!』が教えてくれた、パートナーシップの尊さ 連載開始20周年に寄せて
魔物と人間のパートナーシップから何を感じるのか
作中では数えきれないほどの魔物と人間のパートナシップが描かれている。中には人間の心の弱さに漬け込む魔物や、反対に魔物を利用して悪事を働く人間など、どちらかが相手を支配するという構図も見受けられるが、基本的には主人公の清麿とガッシュや恵とティオ、フォルゴレとキャンチョメのように健全で良好なパートナーシップを育んでいる。
特に清麿とガッシュは作中で見せる親友のような関係性が印象的で、2人の友情や信頼関係の尊さに何度も涙したが、連載から20年経った今『金色のガッシュ!!』を読み直すと、当時とは全く別の感想を抱く面白さがある。
まず、前提として清麿とガッシュの目的はこの戦いに勝利することだが、ガッシュのビジョンは別にある。無理矢理この戦いに参加させられた悲しき魔物・コルルとの出会いをきっかけに、ガッシュは「自分が優しい王様になってこの戦いを終わらせたい」という明確なビジョンを持つようになるのだ。ガッシュは持ち前の情熱や明るさで、清麿や周りの魔物たちを牽引していく。そして、そんなガッシュのビジョンに共感した清麿は、それを達成するべく自身の優秀な頭脳を活かし、巧みな戦術を繰り広げながら勝利を納めていく......。元々戦いを好まない上に、他の魔物に比べて小柄なガッシュを勝利に導くのは、並大抵のことではないし清麿の手腕があってこそだろう。
大人になった今『金色のガッシュ!!』を読むと、清麿とガッシュのパートナーシップからは、単なる友情や信頼関係だけではなく、周囲を扇動するガッシュのカリスマ性、そしてビジョンを達成するために的確なアプローチができる清麿といった、まるで歴戦のビジネスパートナーのような凄さを感じてしまう。
『金色のガッシュ!!』で描かれる魔物と人間のパートナーシップが20年の時を経て読むととまた違った色を見せる、そして2人の関係性の凄さや素晴らしさに気付く......。これこそが本作の最大の魅力であり、何度でも読み返したくなるほど愛される理由なのではないだろうか。
清麿とガッシュ以外にも、フォルゴレとキャンチョメ、そしてシェリーとブラゴは特に、20年経った今読むと連載当時感じたものとはまた違った深い関係性が見えてくる。20周年を迎えたこの機会にぜひまた読んでみてほしい。