『かげきしょうじょ!!』なぜ杉本紗和に感情移入してしまう? 真面目な秀才&ガチヲタという人物像に迫る

『かげきしょうじょ!!』杉本紗和キャラ評

※本稿は『かげきしょうじょ!!』の内容に触れている部分がございます。未読の方はあらかじめご注意ください。

真面目な秀才でガチヲタ

 毎週楽しみにしていた、アニメ『かげきしょうじょ!!』(原作:斉木久美子 白泉社『メロディ』にて連載中)の放映が終わってしまった。最終回の余韻と寂しさに浸りながら、この原稿を書いている。

 紅華歌劇団の音楽学校に100期生として入学し、夢のステージへ向かって切磋琢磨する少女たちの青春を描く『かげきしょうじょ!!』。アニメの最終回となった第十三幕では、文化祭で演じる寸劇「ロミオとジュリエット」の配役をめぐるオーディションと、その結果が展開された。

 これまではチームワークを重視してきた少女たちは、オーディションで初めて競争心を煽られる。仲間がライバルとなる独特の緊張感の中で物語は進み、最終的には望みの役を手に入れる者と、落ちて悔し涙を流す者とに明暗がわかれた。

『かげきしょうじょ!!』なぜ読者は奈良田愛に魅了される? 変わろうと努力を続ける姿を追う

 そんな第十三幕で大きな存在感を放つのが、杉本紗和だ。入学試験ではトップで、以後も学年首位の成績をキープ。予科生委員長として100期生を仕切る真面目な秀才は、一方では紅華のガチヲタという顔をもつ。紅華の話になると饒舌になり、トップスターを見ては興奮、ときには鼻血を流すというギャップにあふれた姿を披露するのだった。

 というように場面によっては印象に残るものの、物語を彩るメインキャラ7名の中で、紗和だけは主役回がないまま最終話となった。だが第十三幕で初めて彼女にスポットライトが当たり、優等生が抱える劣等感が明かされる。このエピソードを通じて、紗和への思いが深まった視聴者は少なくないだろう。

 実家がバレエスタジオを営む紗和は、幼い頃からバレエに親しみ、コンクールでも優勝するほどの才能に恵まれていた。だがバレエよりも紅華歌劇団が好きで、迷わずミュージカルの道を選び、音楽学校に進学する。

 音楽学校の1年生は予科生、2年生は本科生と呼ばれ、予科生の間は一人のミスは連帯責任として扱われる。成績トップの生徒が選ばれる予科生委員長となった16歳の紗和は、つねに冷静さと公平さを忘れないように気を配りながら、100期生をまとめていくのであった。

 たとえば、渡辺さらさが遅刻しそうになっているにもかかわらず、同室の奈良田愛が半ば放置すれば、布団を剥ぎ取り彼女を叩き起こす。生徒間でトラブルが起きた時には仲裁に入り、厳しくも優しい態度や、的を射た発言をしてみせる。紗和は入学当時の周囲に無感心な奈良田愛に対しても、「余計なお世話かもしれないけど」と断ったうえで、他人に興味をもった方がいいとアドバイスをするような、大人びたバランス感覚の持ち主でもあった。

 生真面目で良い子キャラの委員長。だが大きな責務を担い、己の役割に真摯に向き合っている紗和の姿は、完全無欠な優等生でありながら、応援したくなるひたむきさがある。

 そして普段は冷静な紗和は、紅華の演目やトップスターの話題になると途端に豹変。溢れんばかりの紅華愛をほとばしらせながら、演目やトップスターについて熱く語り、トップに会えば、格好良さのあまり思わず鼻血を出てしまう。優等生なのに、紅華が絡むとやや暴走しがちな一面も、彼女のたまらない魅力となっている。



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