ラノベ=異能・異世界はもう古い? ライトノベルでラブコメ人気がブーストした理由

ラノベでラブコメ人気がブーストした理由

 ライトノベルでラブコメ熱が高まっている。書店にならぶ新刊も、「青春ラブコメ」「私以外とのラブコメ」といった具合に、そのものズバリの言葉がタイトルに入ったものや、「英国カノジョ」「カワイイ私」のような、ラブコメ展開を想像させるものが並んでブームを感じさせる。ライトノベルはこのままラブコメ一色になっていくのか。違うカテゴリーからの反撃は起こるのだろうか。

 人気のライトノベルをランキングで示す、宝島社「このライトノベルがすごい!2022」の刊行に向けた投票が、9月23日まで開催中だ。SNSでは作家や版元が自分たちの作品を推す動きが活発化しており、ライトノベル読者からもこれを推すといった声が出ている。年末には結果が明らかになるが、気になるのは、ここに何作のラブコメが入ってくるかということだ。

 前回の「このライトノベルがすごい!2021」を振り返ると、1位に輝いたのは裕夢による青春ラブコメ『千歳くんはラムネ瓶のなか』シリーズだった。以下、5位に紙城境介『継母の連れ子が元カノだった』、7位に屋久ユウキ『弱キャラ友崎くん』、8位に海空りく『カノジョの妹とキスをした』、10位に佐伯さん『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』と、ラブコメと呼べる作品がずらりと並んだ。

 昨年の時点で「ライトノベルといえば異能バトル・異世界ファンタジー」といったイメージはすでに薄まっており、ラブコメ人気がみて取れる状況だった。この傾向がさらに強まっていることから、もっと多くのラブコメ作品が今年のランキング上位に並ぶ可能性がある。

 発行部数が累計で100万部を超え、4月から6月までテレビアニメが放送された二丸修一『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』が盛り返すのか。人気声優の上坂すみれを起用したプロモーションで話題になった燦々SUN『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』は何位に入るのかなど。動きが気になる作品が多数。

 10年前に「このライトノベルがすごい!2011」が刊行された頃も、ラブコメは既に人気ジャンルのひとつだったが、ここまでランキングを席巻していなかった。1位は鎌池和馬『とある魔術の禁書目録(インデックス)』シリーズ。ラブコメは、2位に平坂読『僕は友達が少ない』、8位に伏見つかさ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』という、2010年代を代表する2作品が並んでいた程度だった。渡航の『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』が2013年から2016年まで3連覇を果たした時期でも、ラブコメ一色にはならず、丸戸史明『冴えない彼女の育て方』が伸びたくらいだった。

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