『東京卍リベンジャーズ』橘直人は本当に味方なのか? 三つの謎を検証

『東京卍リベンジャーズ』橘直人の謎

※本稿は『東京卍リベンジャーズ』のネタバレを含みます。

 原作単行本、アニメ、実写映画と絶好調の『東京卍リベンジャーズ』。その人気は飛ぶ鳥を落とす勢いで、多くの人々を虜にしている。同作が人気の理由は様々だが、その一つとして魅力あるキャラクターが多数登場することが挙げられる。だが、その中にはいまだ謎が残るキャラクターも少なくない。主要キャラクターである橘直人もその一人だ。

 直人は主人公・花垣武道の中学時代の彼女である橘日向の弟。直人との握手がタイムリープするトリガーとなっており、武道にとって欠かせない存在だ。現代では武道と多くの時間を共有しているバディのような関係性で、過去での相方・松野千冬を任務の実行面でのバディとするならば、直人は計画面でのバディと言えよう。そんな直人は、ストーリーのキーパーソンであるにも関わらず謎が尽きない。

 その1つ目は、「記憶」。武道が悪戦苦闘して過去を変えた時、現代の人々が急に「今世界が変わった」となるわけではもちろんない。存在する人々がそのままそっくりパラレルワールドに移動するイメージなのだろう。今までいた世界線の記憶もないため、一般の人は何の違和感も持たず普通に生活を送ることとなる。だが、直人は記憶が残った状態でパラレルワールドに移動しているのだ。

 原作の中で、武道が未来に戻ってくると記憶が上書きされると語っており、移動した世界線で武道と知り合いでない状態であっても、武道を見つけ出して接触をしてきた。タイムリープのトリガーである直人が現代で死亡している状態だと、過去に戻った武道は現代に戻れなくなる。さらに、直人も過去に戻って現代を変えたいと強く思わなければ武道がタイムリープすることもできない。タイムリープという現象においてかなりの重要人物であるために、記憶が上書きされるという特別な事象が起こっているのだろう。

 もちろんそこで納得することも十分に可能だが、多くの謎が散りばめられ、深読みしたくなってしまうのも本作の魅力。直人自身もタイムリーパーであるという仮説もあり、原作で明確な言及があるまでは、まだまだ考察の余地がありそうだ。

 2つ目は、「黒幕である可能性」。賛否両論あるが、直人が一連の出来事を仕組んでいるのではないかという仮説がある。その証拠として言及されがちなのが、現代で稀咲鉄太に脅された千堂敦が日向を殺害してしまうシーン。日向を車に残し、公衆トイレに行った武道は半間修二とばったり遭遇する。そこで半間は「あれ? 車 乗ってねーじゃん」とポツリ。半間自身がタイムリーパーであるという説も浮上しているが、直前まで武道と日向と一緒にいた直人が半間に居場所を教えたのではないかとも言われているのだ。

 他にも思い返せば、武道がタイムリープをして何をするのかは全て直人が考えてきた。言わば、武道は直人の言うとおりに動いてきたということだ。その行動が武道にとって思いもよらぬ帰結に繋がることが重なれば、直人が黒幕だという推測はさらに成り立ちやすくなるだろう。

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