『おそ松さん』の人気はなぜ衰えない? 強烈な個性に裏打ちされたコンテンツ力をあらためて分析

あらためて振り返る『おそ松さん』人気の理由

 第3期の放送が終了したTVアニメ『おそ松さん』がファッション誌「smart」をジャックした、「smart特別編集おそ松さん『6つ子的NEET STYLE BOOK』」(宝島社)が5月24日に発売された。

 これまでも『おそ松さん』は、「anan」(マガジンハウス)、「SPUR』(集英社)といったファッション誌や、「Cut」(ロッキング・オン)、「月刊MdN」(MdN)、「サウンド&レコーディング・マガジン」(リットーミュージック)といったカルチャー誌で表紙を飾ってきた。どんな切り口でも特集できる“コンテンツ力”をもつ『おそ松さん』。その魅力を改めて振り返る──。

“赤塚不二夫生誕80周年記念作品”としてスタートした『おそ松さん』

 赤塚不二夫の名作ギャグ漫画『おそ松くん』に登場する松野家の6つ子(おそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松)が成長した姿を描いたTVアニメ『おそ松さん』は、2015年10月に“赤塚不二夫生誕80周年記念作品”として第1期が放送されたことからスタートした。

 手放しで笑えるドタバタ展開、シュールなギャグのオンパレード、深読みしたくなる世界観といった“赤塚イズム”を引き継ぎつつ、現代的なキャラ設定や自由奔放なストーリーが話題となった『おそ松さん』は2016年の流行語大賞にもノミネートされ、制作陣も「理由がよくわからない」と口をそろえて戸惑うほどの大ヒット作となる。

 TVシリーズ(第1期および、2017年10月より放送された第2期)のBlu-ray・DVD売上は累計63万枚を超え、劇場版『えいがのおそ松さん』(2019年3月公開)も動員50万人を突破する快挙を達成。2020年10月から放送された第3期も、これまで以上に振りきった内容でファンを大いに楽しませた。

土台にあるのは6つ子の強烈な個性

 前述したように、制作陣ですら「なぜ?」と首をかしげる『おそ松さん』の大ヒットだが、想像し得る主な理由として、いくつかのポイントが挙げられる。

 まずは当然のことながら、各話の内容が面白い。シリーズを通して『おそ松さん』の構成・脚本を手がける松原秀は『エンタの神様』やTVアニメ『銀魂゜』、実写映画『珍遊記』といった作品で構成や脚本を手がけてきた“笑いのプロ”だ。そんな松原によるシナリオは「松原さんがまた、とんでもない脚本を書きやがった!」とクレームが上がるほど(!?)、6つ子を演じる声優陣からの信頼も厚い。

 シュール&ブラックなギャグはもちろん、しんみりと涙を誘うエピソードや、心がほっこりするようなハートウォーミングなエピソードまで、全方位的に楽しめるストーリーは『おそ松さん』最大の見どころといえるだろう。

 もちろん、その“最大の見どころ”が生きるのは6つ子それぞれに強烈な個性があることが大前提となる。原作の『おそ松くん』では、6人がまったく同じ顔・体格・髪型・服装であり、「全員同じ」ことを逆手にとってイタズラをするエピソードも多く描かれていたが、『おそ松さん』では全員“ニート&童貞”ではあるものの、性格や表情をはじめ、着こなしに至るまでそれぞれの特徴が表れている。

 おそ松は赤、カラ松は青、チョロ松は緑、一松は紫、十四松は黄、トド松はピンクといったように、それぞれにイメージカラーがあることも重要だ。『おそ松さん』を観始めたばかりの視聴者でも、色によって6つ子を直感的に区別することができ、自分にとっての“推し松”を探しやすくもなるだろう。

 6つ子に息を吹き込むのは、櫻井孝宏(おそ松役)、中村悠一(カラ松役)、神谷浩史(チョロ松役)、福山潤(一松役)、小野大輔(十四松役)、入野自由(トド松役)の6名。言わずと知れた豪華声優陣だ。

 台本の段階では「これ、本当に面白くなるの?」と彼ら自身も半信半疑のやり取りが、アフレコ現場で実際に掛け合ってみたら抜群に面白かったというのは、キャストの口からよく聞かれるエピソード。つねに第一線を走り続けている彼らの卓越した技術によって6つ子それぞれの面白さが浮き彫りになり、掛け合うことでさらにその面白さが増す『おそ松さん』の世界に視聴者はどっぷりとハマっていくことになる。



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