『今日のモップくん』座談会 飼育員らが語る、シロガオサキの魅力と伝えたいメッセージ

『今日のモップくん』座談会

武「いろんな生きものと関わり合いながら生きていることが伝わる」

武真祈子

武:モップくんの食べる順番を見て、野生のサキでもあの順番で食べるのでは、と思いながら観察しました。ところで、私からお2人へお伺いしたいのですが、本の中でのお気に入りポイントをそれぞれ聞いてみたいなと思いました。

根本:難しいなぁ。すべてお気に入りなので……。

武:では、私からいいでしょうか。まず、岡田(成生)さんのイラストがすごく好きです。「野生での食べもの」では、私が撮影した野生のサキが食べている果実の写真からイラスト化してもらったのですが、一目見ただけであの果実だとわかるくらい、リアルに書いてくださったのが嬉しかったです。また、「アマゾンでくらす野生のサルによる高さのすみ分け」のページも気に入っています。イラスト自体、非常にかわいいですし、サキ単体ではなく、いろんな生きものと関わり合いながら生きていることが伝わるところがいいなと思いました。

樹木のどの高さに住んでいるのかをイラストで表現。シロガオサキは下の方に

新宅:レクチャーにも使えそうですよね。

武:そうなんです。木だけではなく、蔓も描いてほしいというオーダーにも応えていただけたのもありがたかったですね。サキが利用する森の下層は、蔓が多いというのが特徴なので。

新宅:私は本の構成自体が、非常に気に入っています。根本さんの【今日のモップくん】を挟みながら、コラムや解説が交互に出てくる流れはすごく読みやすいですよね。こういった本の場合、コラムや解説は前や後ろへ固まって収められていて、読むことに疲れて結局読まずに本を閉じられてしまうことがよくあります。けれど、この本ではイラストをたくさん使うという工夫に加えて、ほどよい文章のボリューム感なので、ちゃんと読んでもらえそうなところがありがたいですね。

根本:まず【今日のモップくん】を2018年7月から2020年末まですべて載せてもらえたことが、非常に嬉しかったですね。モップくんの魅力はいろいろありますが、コミカルな動きも魅力の1つだと思っています。本だとその良さが伝わらないんじゃないかと心配していたんです。けれど、QRコードを載せて動画を見られるようにしてもらったことで、よりモップくんの魅力が伝わる1冊になったかなと思っています。

仁王立ちするモップくん

――ある編集者さんからは、「モップくんだけじゃなく、国内の動物園で見られるほかのシロガオサキ2頭が紹介されているのがいいね」と言っていただきました。

武:私もそう思いました。

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