『フルーツバスケット』本田透は物の怪憑きたちのトラウマとどう向き合う? 唯一無二のヒロイン像を考察
透の存在がそれぞれの心を溶かす
十二支と猫の物の怪憑きはそれぞれトラウマを抱えている。物の怪憑きというだけで愛されない子もいるし、猫憑きの人間は異形な「本来の姿」があり、高校卒業後は死ぬまで幽閉されることが決まっている。そもそも草摩家自体が古くから続く名家であるため、その重圧ものしかかっている。
もし草摩家以外の人間を愛しても、十二支の秘密だけでなく、草摩家に迎え入れることが良いのかと悩む者も少なくない。何より、当主である草摩慊人との魂の結びつきが強く、逃れることができない。血縁のしがらみをわかりやすく描いている。それを外の人間である透がほどいていく、というのは難しいことだ。客観的な立場だからできることなのだけれど、たいていの場合は「自分たちのことは分からないくせに」と遠ざけてしまう。にも拘わらず、透が成し遂げているのは「信じているから」だろう。
血の繋がりではなく、ひとりの人間としてあなたのことを信じている、とひとりずつに伝えている。誰かひとりでも自分を信じてくれている人がいると勇気が出る。様々な形でそう伝えられたキャラクターたちが、その後は自分の力で前に進んでいるのも重要なポイントなのだ。
ヒロインとしてはでしゃばらないタイプの透だが、できることならこんな人間になりたいと思える人だ。それは、ヒロインとしてとても大きな条件なのかもしれない。
■書誌情報
『フルーツバスケット』単行本23巻/愛蔵版12巻完結(花とゆめCOMICS)
著者:高屋奈月
出版社:白泉社
■アニメ放送情報
『フルーツバスケット』
テレビ東京にて、毎週月曜深夜1:30~放送
テレビ愛知にて、毎週月曜深夜1:30~放送
テレビ大阪にて、毎週月曜深夜1:30~放送
AT-Xにて、毎週金曜21:00~放送
※リピート放送:毎週火曜9:00~/毎週木曜15:00~ほか
※放送情報は変更になる場合あり
声の出演:石見舞菜香、島崎信長、内田雄馬、中村悠一、釘宮理恵、潘めぐみ、古川慎、興津和幸、櫻井孝宏、上田麗奈、大地葉、河西健吾、豊崎愛生、梅原裕一郎、坂本真綾、折笠愛、石田彰、森川智之、種崎敦美、佐藤聡美、沢城みゆき、江口拓也、加隈亜衣、
※島崎信長、種﨑敦美の崎は正式には「たつさき」
原作・総監修:高屋奈月『フルーツバスケット』(白泉社・花とゆめCOMICS)
監督:井端義秀
シリーズ構成:岸本卓
キャラクターデザイン:進藤優
美術監督:神山瑶子
色彩設計:菅原美佳
撮影監督:蔡伯崙
編集:肥田文
音響監督:明田川仁
音楽:横山克
音楽制作:トムス・ミュージック
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
製作:フルーツバスケット製作委員会
The Finalオープニングテーマ:「Pleasure」/WARPs UP
The Finalエンディングテーマ:「春うらら」/ GENIC
(c)高屋奈月・白泉社/フルーツバスケット製作委員会
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