『フルーツバスケット』が時代を越えて愛され続ける理由とは? 十二支の仲間たちが抱える“呪い”と“絆”

『フルーツバスケット』が時代を越えて愛され続ける理由とは? 十二支の仲間たちが抱える“呪い”と“絆”
『フルーツバスケットanother』1巻

 4月6日からアニメ2期がスタートした、高屋奈月による少女漫画『フルーツバスケット』(以下、フルバ)。1998年から2006年まで、『花とゆめ』(白泉社)で連載されていた全23巻の本作は、全世界コミックス累計発行部数3000万部を突破、2007年には「もっとも売れている少女マンガ」としてギネスブックに認定された。さらに2015年には、愛蔵版が発売され、同年スピンオフ漫画『フルーツバスケットanother』がWEB上で連載スタート。その流れを受け、2019年4月からの全編アニメ化が決定した。連載終了から14年。なぜこれほどまでに、幅広い年齢層の読者に愛され続けているのか。時代を越え、普遍的なテーマを扱ったフルバの魅力を考察したい。

 物語の主人公となるのは、幼い頃に父を亡くし、心の支柱であった母親をも交通事故で失った女子高校生の本田透(とおる)。悲しい過去を抱えながらも、個性的な友人と楽しい高校生活を送っていた。しかし、友人には内緒でひとり山の奥でテント暮らしをしていた透は、ある時テントを張った土地一帯を所有している草摩一族の紫呉(しぐれ)と由希(ゆき)に見つかってしまう。しかも、由希はファンクラブができるほどの人気を誇るクラスメイトだった。テントのある場所が土砂崩れにあってしまったことがきっかけで、透は紫呉と由希、そして由希と犬猿の仲である同じ一族の夾(きょう)と4人で暮らすことに。しかし、彼らは“十二支の物の怪憑き”(十二支+猫憑き)で、異性に抱きつかれると自分に憑いている獣に変身してしまう体質だった。透はその体質を受け入れ、次々に登場する草摩一族の十二支の仲間たちと心を通わせていく。

 1巻では、透と十二支の仲間たちの、のほほんとした日々が描かれる。そのため、一見ファンタジー要素のある日常ドラマに思えなくはない。“十二支の物の怪憑き”という忌まわしい体質も、物語を盛り上げてくれる一要素に過ぎないのではないかと感じてしまう。しかし、早くも2巻から物語に不穏な影が落ち始める。それは、十二支の辰(龍)の物の怪に憑かれているはとりが透に告げた、「物の怪に憑かれ続ける草摩家は君が考えるほど楽しいモノじゃない。奇怪で、陰湿で、呪われている」(2巻)という言葉だった。フルバはギャグ要素も多いが、そこから巻を追う毎にシリアスなシーンが増加し、十二支の仲間たちがかけられた“呪い”の正体が明らかになっていく。

 私たちの世界には、もちろん“十二支の物の怪憑き”など存在しない。けれど、十二支の物の怪に憑かれている登場人物たちが抱える困難は、意外なほどに私たちと共通している。その一つが、血がつながる親子のジレンマだ。草摩一族は代々怪憑きだが、数年に一度のスパンを経て十二支の子供が生まれるため、両親はその体質を持たない。そのため、物の怪に憑かれた子供をまっすぐに愛せる親はそう多くはないのだ。

 卯(兎)の物の怪に憑かれている紅葉(もみじ)は、4巻で「物の怪に憑かれた子供を持った“お母さん”は不必要なほど過保護になるか、拒絶するかのどっちかが多いんだ」と語る。過保護か、拒絶。実際にほとんどの怪憑きは親から疎まれ、草摩一族以外にはけっしてバレないよう徹底的に管理される。さらに彼らをコントロールするのが、草摩家の当主で十二支の“神”にあたる存在、慊人(あきと)だ。慊人は十二支の仲間たちが他の人間に心を開くことを嫌い、自分の支配下に置こうとする。十二支の物の怪憑きは神である慊人に恐怖しながらも、自分たちのつながりに“絆”を見出してしまい、逆らうことができない。彼らの姿を見て、脳裏に浮かんだのが“毒親”という言葉だった。

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