『ONE PIECE』エースはなぜ生き急いだのか? ルーキー時代の軌跡から見えるもの

『ONE PIECE』エース、生き急いだ人生

 エースがかつての海賊王ゴールド・ロジャーの息子だということはご存知のことと思う。そして彼が、世界的に悪名高いロジャーを父に持つせいで苦しんできたことも。だからこそエースは、かつてロジャーと肩を並べ、海賊王に最も近い男と目される白ひげを超えようとした。ここに彼は、自身の存在意義を見出そうとしたのである。その後エースが白ひげへの敗北を経て、白ひげ海賊団に加入するというのは周知の事実。次回の第3話では、エースが白ひげと対峙したその顛末が語られるようだ。当たり前のことだが、それぞれのキャラクターには登場するまでに各々が歩んできた道のりがある。彼らの存在のバックグラウンドだ。本作を読んで本編に戻ると、また『ONE PIECE』の世界の見え方は変わってくるだろう。

 それに私たち読者は、やがて訪れるエースの死をすでに知っている。それまでにはリアルタイムでキャラクターが死を迎えることのなかった『ONE PIECE』の世界において、多くの方が重大事件として記憶しているはずだ。『ONE PIECE episode A』でエースの人生に触れることで、彼の最期の見え方も変わってくるだろう。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

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