『みんなのきょうの料理』一番人気のレシピは? 簡単&美味しい旬ごはんを作って実食

『みんなのきょうの料理ランキング』に挑戦

 月間380万人ものユーザーが訪れる料理情報サイト『みんなのきょうの料理』は、NHKの人気料理番組『きょうの料理』のウェブ版である。プロの料理家が提案する鉄板レシピを自由に見られるほか、レシピの感想を“つくコメ”として投稿できるのがけっこう楽しい。「いつ何を作ったか?」を忘れがちな私にとっては、メモ代わりにもなっている。他のユーザーのコメントがレシピ選びの参考になる時もある。

 その“つくコメ”が多くついた人気レシピを四季別にまとめたのが、今回紹介する『みんなのきょうの料理ランキング 毎日おいしい!かんたん旬ごはん (生活実用シリーズ)』(NHK出版)だ。

 登場する料理家も番組さながらトップクラス揃い。本書を初めてスーパーの雑誌コーナーで手に取った時、その豪華な顔ぶれに驚き「たった600円の本でこんなにアベンジャーズしちゃって大丈夫なんですか!?」と余計な心配をしてしまった。ワンコインちょっとで確かに美味しいおうちごはんレシピ集が手に入るとあらば、カートに入れない理由はなかった。

 これを書いている今は晩秋。さっそく、旬のものと定番食材が活かせるレシピに挑戦してみた。脳内BGMはもちろん、冨田勲さん作曲「きょうの料理」のテーマ曲で。

土井善晴さんの「肉じゃが」

 肉じゃがにはいろいろな作り方があるが、

水もだしも使わずに蒸し煮にすると、野菜の水分で、ほっこり火が入ります

 と、土井先生は言う。レシピの通りに具材を炒め、酒・砂糖を加えたら、きっちり蓋をして鍋の息をふさぐこと15分。すると、あら不思議。あの煮崩れやすい男爵が、ホクホク感をまといつつ、ほぼ、元の姿でおでましだ。

 次に、醤油を入れて味をつける。そう、肉じゃがレシピに登場しがちな、みりんも非番なのである。

 最後にネギを入れて仕上げれば、目にも舌にもほっこりやさしい肉じゃがの完成。


 ホクホクのじゃがいもと、甘く煮えた玉ねぎが牛肉の旨みをたっぷり吸っている。

 親しい者で集うことを「夫婦水いらず」などと言うが、具材全員が仲良しなこの一皿は、まさに「肉じゃが水いらず」と言えるだろう。

斉藤辰夫さんの「さんまと厚揚げのポン酢煮」

 いつもパリッとした白衣とネクタイ姿でやさしく和食を教えてくれる日本料理研究家の斉藤先生からは、秋刀魚の簡単料理を教わろう。

 どれだけ簡単かというと、

ポン酢しょうゆ使用で味つけの失敗なし。安心してつくって!

 「はい!……え?」とレシピを二度見してしまったほど。なんと、調味料はポン酢と砂糖のみ。


 しかも、落し蓋(私はクッキングシートを使用)をして火を入れること5~6分。焼くより早い。

 煮上がると、秋刀魚の腹ビレがかわいい花を咲かせていて、いい予感。いざ食べてみると、ポン酢のとんがったところがなくなり、味わいまろやか。どちらかといえば薄味なのに深いコクがある。柑橘類のなせる技か、魚の臭みもどこかに飛んで行ってしまった。

 秋刀魚と厚揚げを切って、二つの調味料で煮るだけ。「ごはんの支度をパパっと済ませたい」、そんな日にもきっと嬉しいレシピである。

坂田阿希子さんの「ローストポークディナー」

 寒くなってくると、オーブンで塊肉をドン!と焼きたくなる。そこで、クリスマスメニューにも良さそうな「オーブンまかせのローストポーク」と「じゃがいものグラタン」を作ってみた。

おしゃれなディナーメニューですが、前日に用意すれば当日はラクなんですよ

 と、坂田先生が言う通り、肉はあらかじめ塩・砂糖・オリーブ油・ローリエの下味につけておき、テーブルに出す前に火入れするだけ。味つけ自体はすぐに終了。

 冷蔵庫で4日間寝てもらった肉に久しぶりに会うと、透明感が出ている。その美しさに思わず「きょうのお前はきれいだよ」と愛娘を嫁に出す父親の気分になる。しかし、よそにはやらず、フライパンで焼き目をつけ、オーブンで焼く。焼いた肉を休ませている間に「じゃがいものグラタン」を仕込んだら、旗日でもないのにホリデーメニューの出来上がり。


 しっとりと焼き上がったローストポークは、弾むような噛みごこち。グラタンをちょんと乗せたり、パンに後を追わせたり、美味しい時って忙しい。口輪筋が崩壊しそうになりながら、少し取っておいて朝ごはんにすることを思いついた。

 サンドイッチ計画だ。


 シンプルにからしマヨを塗った食パンに、レタスと挟んだだけでボリューミーなローストポークサンドのできあがり。他にもパスタやサラダにも合いそうと、夢が広がる極上ローストポークなのだった。

小林まさみさんの「手羽先と半熟卵の紅茶煮」

 ”茶色い食べ物は正義”というモットーを掲げる私の目をひいた、表紙を飾るこの料理。さらに小林先生のコメントがそそる。

煮汁に加えた紅茶の効果で、色濃くテリテリ。香りも上品!紅茶はアールグレイがおすすめ

 なるほど、深い茶色の正体は紅茶だったのか。


  まっ茶色な見た目に反して使われる醤油の分量は大さじ1と1/2。減塩食にも良さそうなほど、なかなかアッサリ。ただし、家族3人に対して手羽先6本は完全に私の計算ミスだった。次回は3倍量で作ることをここに誓います。それでも足りないかもしれないけれど。

枝元なほみさんの「あさりのフライパンパエリヤ」

 「エダモン」の愛称で多くの人に親しまれる枝元先生。私も90年代から、圧力鍋料理やお手軽エスニック料理など、多くの「エダモン」レシピをレパートリーに取り入れてきた。だからか、雑誌などでお顔を見ると不思議とほっとする。まぶたの母ならぬ、まぶたのお姉ちゃん的存在だ。

 さて、今回の「エダモン」レシピは、スペインの名物料理・パエリヤ。専用のパエリヤ鍋ではなく、フライパンで作っちゃおう!という、家庭的なレシピだ。

あさりの蒸し汁入りスープで炊くので、魚介のうまみがたっぷり!


 説明通り、ふっくら炊き上がった米粒はあさりの旨みをパンパンに吸って、みずみずしい。「このパエリヤ、美味しい。飲んじゃう。」とは家族の評。

 そして、たまにキュッとレモンを絞ると、魚介のうまみを爽やかに引き立ててくれ、美味しさが倍増する。ここでのレモンは、俳優に例えるならマイケル・ケインばりの名脇役。ぜひとも生のレモンを使われることをおすすめしたい。

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