アボカド×丼で世界中の料理が楽しめる! 万能メニュー「アボカ丼」を作ってみた
アボカドには醤油・わさび・マヨネーズ。気が向いたらメキシコ料理というのが、私のアボカド料理のルーティン。美味しいけれど、月並みでもある。このまま大好きなアボカドに、判で押したような生活を強いていて良いのか? この美味しさを、もっとグッと引き立てる日常づかいのレシピはないか?と、いつも考え巡らしていた。
そんなマンネリアボカド料理の日々に、ある日ひと筋の光が差した。『アボカ丼』(緑川鮎香著/大泉書店)である。
まず、『アボカ丼』という軽妙なネーミングが可愛らしい。著者・緑川氏はさらりと言う。
いつもの丼(どんぶり)にアボカドを加えたのが「アボカ丼」です。(本書より)
じつにカジュアルな定義づけだ。そして「いつもの」という言葉にハッとする。なるほど、いつも食べている料理にプラスすれば、構えることなく自然に別の調味料と組み合わせられるというわけだ。
思い起こせば、アボカドは世界中で愛される果物で、いろんな国の料理と仲良し。60ものアボカド丼レシピを掲載する本書でも、日本、メキシコはもちろんのこと、タイ、韓国、ベトナム、アメリカの名物料理とフランクに手を取り合っている。その姿はまるで果物界の親善大使のようで、アボカドは調味料を選ばない食材ということに気づかされる。
巻頭で丁寧に図解される「選び方」を参考に買い求めたアボカドには、あの恐ろしい白カビはなく、アボカドグリーンのグラデーションがひたすらに綺麗なものだった。もうあとはGO TO 台所して、アボカド料理の新しい扉を開くだけ。ワクワクしつつ、全三章のトップ「簡単丼」コーナーから何品か作ってみることにした。
思い立ったらすぐできる「PART1・5分でパパっと簡単丼」
この章には、手に入りやすい食材、特に缶詰や加工肉、おなじみの調味料などで手早くつくれる20のレシピが集まっている。結論から言うと、知った食材たちが大化けする時短レシピ集だ。
あの薬味でメキシカン!?「さんまの和風アボカドサルサ丼」
メキシコのサルサは、一般的にレモンやライムなどの柑橘果汁とハラペーニョや青唐辛子、塩やスパイスなどで味付けされる料理だ。しかし、ここでのこのサルサのベースは、なんと柚子こしょう!
今まで思いもよらなかったが、柚子・青唐辛子・塩で作られる柚子こしょうはサルサの和風アレンジにぴったりな調味料だったのだ。やや単調な甘っ辛さを持つさんまの蒲焼き缶に爽やかな柚子の風味が食欲をそそる。もう鍋の薬味だけにしておくのは、もったいない。
舌までとろけた「鶏キムチーズのアボカ丼」
続いてもピリ辛メニュー。こちらは焼き鳥缶(たれ)と、キムチ、チーズからなる韓国風のアボカ丼だ。
材料をレンチンするだけという半目でもできそうな簡単レシピなのに、期待値を120%上回る美味しさ。焼き鳥缶の炭火の香りがぷんと香り、続いてキムチがピリッとやってくる。と同時に、マイルドチームのアボカドとチーズが舌を優しく包む。濃厚民族の血が騒ぐ一品だ。
酸味が爽快「梅さばアボカド丼」
さばの水煮缶と梅干し、醤油と酢だけで作る「梅さばアボカド丼」は、家族みんなで食べられるヘルシー料理。
そこに鯖缶があったから。そんな軽い動機で作ったら、「何これ、美味しい!」と家族が目を丸くした。私も「そう?ありものでパパッと作ったんだよね」と、いい気分で鼻の穴をふくらませながらパクパク食べる。梅干しと酢と醤油の黄金比率ダレが絡んだ具材はもちろん、お米の一粒一粒が丼の底まで美味しい。
パート2・見て楽しい!彩りカフェごはん
次はちょっとステップアップして、火を使うカテゴリーに行ってみよう。この章には、読む多国籍料理店と言っても過言ではないほど、世界中の料理が並ぶ。
カラフルな「アボ・ガパオライス」
日本では「ガパオライス」の名でおなじみのタイ料理に、アボカドが加わった彩り鮮やかな一品。
スパイシーな料理と相性がいいアボカドは、タイ料理にもしっくり馴染む。一見、ただ混ぜ込んだだけに見えるかもしれないが、赤唐辛子の辛さをアボカドのねっちりした食感が和らげるナイスな組み合わせは理にかなったものだ。食べ慣れたガパオライスにアボカドグリーンが目にも新鮮だ。
おうちでストリートフード「アボ・チキンオーバーライス」
ニューヨーカーに人気の屋台メニュー「チキンオーバーライス」は、もともとトルコ発祥のワンプレートディッシュだ。どれだけのスパイスが必要なのか?と材料をみると、本書で使われるのはチリパウダーたった一種類。このチリパウダーはスペインやメキシコの料理によく使われるが、じつは唐辛子、オレガノ、クミンにガーリックなど、中近東料理にも適したスパイスがミックスされていることに気づかされた。
こちらも火こそ使うが調理は簡単。下味を漬けてこんがり焼いた鶏肉をターメリックライスにのせて、アボカド率いるサラダ軍を盛りつけるのみだ。香り高いヨーグルトソースがこってりしたアボカドや鶏肉にマッチして、ごはんが進む。
本場さながらにシラチャーソースをかけて辛口にしたら、胃も心ももうニューヨーカーだ。