『BLEACH』黒崎一護が護った“たったひとつ”のこと 強い力を持つ者の運命とは?
正義か悪か 強い力を持つ者の運命
持って生まれた才能とも言える強大な力。こういった力は悪に目をつけられやすい。極端な話、世界を救える力を持っているなら、世界を滅ぼすことも支配することもできる。しかし一護は救うことを選んだ。最初のきっかけは家族だった。襲われている家族を護るために死神となった。しかし、自分の代わりに死神として虚と戦え、といったルキアに対しては、一度断っている。
「見ず知らずの他人のためにあんなバケモノとなんて戦えねぇ!俺はそこまでやるほど出来た人間じゃねぇんだよ!」
母親を亡くしていることもあって、一護は家族を何より大事に思っている。自分は妹たちを護るために、最初に生まれてきたのだ、と。そんな一護は少しずつ護るものが増えていく。人間に死神の力を譲渡した罪に問われたルキアを助けに死神たちが暮らす死後の世界・尸魂界(ソウルソサエティ)へと乗り込む。理由は、自分の家族を助けてくれたから。その恩は忘れない、というシンプルな理由。友達が危険な目に遭えば助けるのは当たり前。やがて、一護が護るものは家族から「世界」になる。
「全部護る為にここへ来たんだ 俺以外の誰かにできたとしても俺がやらずに逃げていい理由にはならねぇんだよ!」
力が開花し、正義に燃えたのか。いや、違う。一護は最初からずっとブレていないのだ。大切な家族を、大切な仲間を護るために力を使う。それは一護のため正義であって、他の者にとっての正義ではないかもしれない。それでも、一護は常に誰かのために力を使い続けてきた。それが周りの者たちの心を掴む。大切な人を護る。それが結果的に世界を護った。一護が護ってきたのは、最初はたったひとつのことだったのだ。
(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))
■書籍情報
『BLEACH』(ジャンプ・コミックス)74巻完結
著者:久保帯人
出版社:株式会社 集英社
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