長谷川京子、成熟した色気で表現する“女の人生” 42歳の写真集『Just as a flower』の魅力に迫る

長谷川京子、写真集に刻まれた生き様

 昨年11月に出版された、女優・長谷川京子の写真集『Just as a flower』(宝島社)の2度目の重版が決定した。母として妻として女優として、人間的に成熟した長谷川にしか出せない匂い立つ色気。長谷川京子が「すべてをさらけ出した」という42年の生き様を表現した至高の写真集である。

 長谷川といえば、"ハセキョー"という愛称で親しまれ、『CanCam』(小学館)の専属モデルとして活躍し、2000年、当時大ブームだったK-1やPRIDEの格闘技を扱った番組『SRS』(フジテレビ)で、藤原紀香、畑野浩子に次ぐ、三代目格闘ビジュアルクイーンに抜擢され一躍有名になった。女優としてもドラマ『スタアの恋』(フジテレビ)や『天体観測』(フジテレビ)など数多くの作品に出演。2004年にはCMの露出量が1位となる「CMの女王」として"ハセキョー現象"を巻き起こす。そのコケティッシュな魅力で一時代を築いた長谷川。結婚と出産を機に一旦は仕事をセーブしていたが、充電期間を経たあとはのリミッターを振り切るかのごとく、かつてのイメージを吹き飛ばす自由なキャラとして活躍している。

 結婚して二児の母となった長谷川だが、ママタレとして素敵なお母さんキャラを打ち出したわけではなかった。むしろ、妖艶で色気溢れるビジュアルを武器に、2019年1月にスタートした『グータンヌーボ2』(関西テレビ)で初めて司会に挑戦し、田中みな実などのレギュラー陣を相手に、40代の1人の女性として、恋愛や結婚観など、歯に衣着せぬトークを繰り広げた。その痛快なキャラクターが女性たちから共感を得て、再びブレイクに至ったのである。

 女優として与えられる役柄も、自分の感情に素直に生きる女性が多くなっている。2019年の主演ドラマ『ミストレス~女たちの秘密~』(NHK)では、不倫相手だった患者の息子の大学生と恋愛に陥る心療内科医を演じ、当時23歳の若手俳優・杉野遥亮との数々の濃厚なラブシーンが話題となった。年齢を重ねて守りに入るのではなく、1人の女性として自立的な存在であり続けようとする姿勢は、同年代の憧れになりつつあるのだろう。16年ぶりの写真集『Just as a flower』は、誰かのためではなく、自分のために"ありのまま"の姿を残そうとした作品だ。

 この写真集は序盤の表情と、背中がザックリと開いたワンピースを着てからの表情がまったく違う。一気に色香が加速しているのだ。濡れた布で覆っただけの胸、一糸まとわぬ後ろ姿など、惜しみなく体を張って表現している。

 ただ、この写真集の本当の魅力は、そういった扇情的な姿ではなく、長谷川が生きてきた証を感じさせる41歳のリアルな肌の質感にこそあるのではないだろうか。一生懸命に子育てをしている母親としての顔と、次のステージへと向かおうとする女優としての顔が折り重なるところに、たおやかな色気が立ち上がってくるのである。

 長谷川はインタビューで、一番見て欲しいのは「女性の象徴である胸」だと語っている。「若いころはハリがあったけど、どんどん重力に負けるようになって(笑)。でもその変化が愛おしいというか、自分が女性として生きてきた過程がそこにあらわれているような気がするんです」(「ゲーテ」【長谷川京子】「20代の頃より今の自分が好き」より)という長谷川は、自らが歩んできた人生に誇りを持っているのだろう。かつてオードリー・ヘップバーンが、若い頃に比べ顔のシワが増えたことについて聞かれ、「確かに私の顔にシワも増えました。ただ、それは私が多くの愛を知ったということなのです。だから、私は今の私の顔の方が好きです」という名言を残したが、長谷川も同じように感じているのではないか。

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