つづ井さんが語る、HAPPYなオタク人生のルーツ 「行動力やバイタリティは、母の影響が強いかも」
「今ならできるかも」という心変わりを楽しみながら生きる
――「もう自虐をしないと決めた」というnoteの記事(参考:「裸一貫!つづ井さん」についてちょっと真面目に話させてくんちぇ〜)も拝見させていただいたんですが、改めてそのときのお話を聞かせてください。
つづ井さん:職場では「恋愛」か「結婚」の話題がよく出てきます。そこで先回りして「彼氏いないんですよ」と自虐することで、価値観の押し付けに傷ついたりせずに対応できてると思ってたんです。自分はうまいことできてるほうだって思ってたというか……。それが私にできるやり方だって思い込んでたんですよ。でも、円形脱毛症が出たときに、真っ先に思い浮かんだのが、自虐していたことで。
――自分なりの対応策だったはずが、処理しきれていないものがあったんですね。
つづ井さん:はい。だから、とりあえず絵日記を描く上では自虐は一切せんとこうって思って。絵日記を描くのって瞬間的な行動じゃなくて、自分で内容を精査して、担当編集さんにも相談できることなので、やっていけると思いました。でも生身の人間として社会生活をする上で、自虐をゼロにするっていうのは難しくて……。自虐だけじゃなくて、卑屈な精神というか。「私なんかがすみません」みたいなのをいきなりゼロにするっていうのは、私にとっては本当に難しいことで。
――そこは難しいところですよね。
つづ井さん:やっぱり癖がついているんですよね。思考の癖もあるし、行動の癖もあるし。とっさに出てくる言葉って、いつも考えてることなので。慣れてる言い回しとか、そういうのが出ちゃうので。なので、すぐには難しいんですが、シンプルに「先回りして自虐はしない」と「言われてイヤだったことは肯定しない」っていう2つだけは気をつけていこうと。「それは違います!」とかはまだ言えないんですけど。自分にできる範囲で。
――誰かに認めてもらわなくても自分自身でHAPPYな日々は作れるんだという発見が、つづ井さんの絵日記を通じて広がっているように思うのですが、つづ井さん自身は作品を発表してきたことで日常に変化を感じることはありますか?
つづ井さん:私の絵日記がきっかけで何かが大きく変わったという自覚はないんですが、世の中的にも私個人としても「腐女子」や「オタク」に対する見方の変化は感じています。以前あったマイナスイメージは和らいでいるんじゃないかな、と。学生時代のころはアニメとか漫画とかが好きって、堂々と言えない空気があったように思えて。「こういうのって言うものじゃないよね」みたいな。そしてオープンにしてる人は、ちょっと白い目で見られるというか。でも、今は自分には「こういう趣味がある」って言うハードルがすごく低くなってるから、言うのも言わないのも自分で選べるようになってきたと思います。何においても選択肢が増えるというのは、すごくいいことですよね。
――たしかに。そして自分から発信することで、情報が集まってくる喜びもありますよね。
つづ井さん:そうですね。SNSとかだと好きな趣味を通じて繋がりが生まれますし。人との繋がり方も、これからどんどん変わっていくんだろうなと思います。
――この流れでどうしても聞かないと、思ったのが、つづ井さんが今推している「あまりにも身辺情報のない」俳優さんについてなんですが。その後、新情報はありましたか?
つづ井さん:それがー! このご時世なので、見に行こうと思っていた舞台のチケットも中止になり、10万円分くらい払い戻しになってしまって。もー……はぁ……せめて息災でいらっしゃるかどうかだけでも知りたいです……。生存確認する術がなくて。公式LINEとかやってほしい!
――様々なジャンルで、ファンの方のほうが「お金払うので、こういう情報発信してください」っていうアイデアが豊富にありそうですよね。プレゼン大会とかしたら、すごい企画が生まれるのでは、と思っています。
つづ井さん:したいです(笑)!
――最後に、つづ井さんのように日々を不思議なくらい楽しく生きるために、心がけていることをお聞きしたいです。
つづ井さん:私、けっこう目先の興味しか考えてなくて。将来のこととかちゃんと計画しているタイプじゃないんですよ(※7)。でも、その都度やりたいことはチャンスがあれば、経験していきたいなって。『腐女子のつづ井さん』ってタイトルで、絵日記を描かせていただくようになったばかりのころは、こういうインタビューとか自信がなくて、みんなお断りしていたんです。でも『裸一貫!つづ井さん』になってから、「やったことないことこそ、やってみよう」って心持ちが変わって。ありがたいことに、そういう機会もたくさんいただけて。昔の自分だったら「絶対できない」って思っていたことも、「今ならできるかも」みたいな心変わりとか、時代の変化とかを楽しみつつ、生きていけたらなって思っています。
――たしかに、人生の未知な部分を楽しめる人って最高ですね。そして、その第一歩としてプロフィール帳に描かれている「プランクをもっと長時間できるようになりたい!」に笑いました。
つづ井さん:そうなんです。これも「やったことないから、やってみよう」なんですけど。今まで痩せたことないし、筋肉つけたことないので、痩せて筋肉つけてみようって。1ヶ月半で4キロ絞れたんですよ。なので、あと6キロ!
――えー! 想像していたよりもストイックな目標で度肝を抜かれました(笑)。
■書籍情報
『裸一貫! つづ井さん』
つづ井 著
1〜2巻、発売中
定価:本体950円+税
出版社:文藝春秋
(C)Tsudui / 文藝春秋