「とある」シリーズと無縁の人生を過ごすのはもったいない! 広大無辺な世界の入り口は、キャラの魅力にあり

「とある」シリーズの面白さはキャラにあり
「とある」シリーズの第1作目

 上条当麻という少年が科学の発達した学園都市に暮らし高校に通っていたところに、イギリス清教に属して10万3000冊の魔道書をすべて記憶した「禁書目録(インデックス)」という少女と出会い、彼女を追いかけてきた炎を操る魔術師のステイルや神裂らと戦う。この一件を経て魔術も、学園都市の研究成果として少年少女が発動できるようになっている超能力も、打ち消す右手を持っていると知られた上条当麻を狙って、十字教のイギリス清教やローマ正教から魔術師たちが襲来する。

 一方で、科学を発達させた学園都市と魔術をより所にする十字教が激突。世界大戦の様相を見せ始めた世界の中、上条当麻は戦いを経て得た仲間たちとともに決戦に挑む。超能力や魔術による異能バトルがあり、学園都市の支配をめぐる謀略がありといったストーリーの上で、強大な敵と対峙する中でどれだけ逆境に陥っても、決して諦めず「その幻想をぶち殺す!!」と拳1つで立ち向かっていく上条当麻の格好良さに、誰もが魅了されていくはずだ。

 アニメやコミックから「とある」に入るという方法もある。第3期まで作られた『とある魔術の禁書目録』のテレビシリーズ、学園都市でも7人しかいない“レベル5”の超能力者の第3位で、電撃を操る御坂美琴という中学生女子が学園都市でめぐらされる謀略に挑んでいく展開に上条当麻が関わるスピンオフ作品『とある科学の超電磁法』のテレビシリーズやコミックから、キャラに興味を抱き世界観を知りたいと本編に手をのばしていく。

 『超電磁砲』シリーズだけでも楽しめるが、やはり本編に入って『創約 とある魔術の禁書目録』にたどりついて欲しい。

 7月に第2巻が出る『創約』は、『とある魔術の禁書目録』の後、世界が何度も滅びたり、神々や魔術師が争ったりといった突拍子もない展開に翻弄された『新約 とある魔術の禁書目録』の22+1冊を終えた先で始まった新展開。学園都市を起点に上条当麻、インデックス、御坂美琴、レベル5第1位の一方通行といった主要キャラの活躍を描いていこうとしている。

 科学と魔術が出会い、ぶつかり合った先で融合を果たしたような世界観の中でいったい何が始まろうとしているのか? それを知るために「とある」を読み始めてみよう。キャラの誰かに興味を持って。アニメやコミックスの面白さを入り口にして。

■タニグチリウイチ
愛知県生まれ、書評家・ライター。ライトノベルを中心に『SFマガジン』『ミステリマガジン』で書評を執筆、本の雑誌社『おすすめ文庫王国』でもライトノベルのベスト10を紹介。文庫解説では越谷オサム『いとみち』3部作をすべて担当。小学館の『漫画家本』シリーズに細野不二彦、一ノ関圭、小山ゆうらの作品評を執筆。2019年3月まで勤務していた新聞社ではアニメやゲームの記事を良く手がけ、退職後もアニメや映画の監督インタビュー、エンタメ系イベントのリポートなどを各所に執筆。

■書籍情報
『とある魔術の禁書目録(インデックス) 外典書庫①』(電撃文庫)
著者:鎌池和馬
イラスト:はいむらきよたか
出版社:KADOKAWA
https://dengekibunko.jp/product/index/322002000145.html

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