『映像研には手を出すな!』水崎氏はなぜ”アニメーション”を選んだのか? 「アニメは一番濃厚」の意味

『映像研には手を出すな!』水崎氏はなぜ”アニメーション”を選んだのか? 「アニメは一番濃厚」の意味

 大勢のファンに惜しまれながらも、NHKでのアニメ放映を終えた『映像研には手を出すな!』。今年は実写ドラマの放映、実写映画の公開とまだまだ映像研の話題には事欠かない。

 そんな『映像研』熱が冷めやらぬ中、今回は映像研3人組のひとり、アニメーター・水崎ツバメについて考えていきたい。俳優一家に生まれ育ち、自身も人気読者モデルとして活動している水崎氏。しかし、彼女の夢はアニメーター。動きをアニメで表現することにある。

アニメではなく「アニメーション」

 金もある。名声もある。美貌もある。そんな彼女が求めるものは、世間一般の女子高生が望むものとは一味違っていた。それは「アニメーション」を作ること。金森氏が水崎氏に言った「水崎氏は「アニメ」が作りたいんじゃなく、本当に「アニメーション」が作りたいんすね」というセリフが一番わかりやすく水崎氏のことを表しているように感じる。

 浅草氏のように「自分の考える最強の世界」をアニメというストーリーにするのではなく、水崎氏が作りたいのはチェーンソーの刃の揺れであったり爆発の煙であったりと、ストーリーではなくモーションなのだ。

アニメーター・水崎ツバメが生み出したいもの

映像研には手を出すな!1巻

 彼女の親は水崎氏に俳優になって欲しいと願っている。「ツバメの才能は観察眼なのよ」とは彼女の母親のセリフだ。キャラクターに動きを付け命を吹き込む彼女の技法は、その優れた観察眼のなせる業だ。そして、その観察眼は演技にも生きてくる。「なんでもすぐ吸収して再現する。天才だと思った」と俳優である父親に言わしめるほどだ。彼女には俳優となる上で重要なものがいくつも備わっている。観察眼、演技力、美貌。それに加えて、両親が俳優であるという知名度まで付いている。それは多くの人が望み、けれど誰もが手に入れられるといった類のものではない。俳優を志す人からみると、彼女はあまりに恵まれすぎている。そして、そのことは彼女自身も自覚しているはずだ。

 しかし、彼女が望むものは自らの身体でモーションを表現することではない。アニメーションで表現することなのだ。アニメと実写の動きの違いを、彼女は濃さで表していた。「アニメは一番濃厚」。彼女は動きの細部が観たい。動きのひとつひとつに感動している。「動き」が好きな彼女であるからして、演技をすることも自体も決して嫌いではないのだろう。しかし、その道は選べない。なぜなら、一番濃厚なものが何かわかっているからだ。「動き」を追求したが故に彼女はアニメーションへとたどり着いてしまった。

 それゆえに水崎氏はアニメーションを作り続ける。同じく動きに心動かされる誰かのために、そして動きを観たいと願う自分自身を救うために。それが彼女の生きる目的だ。

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