『鬼滅の刃』きっての”かぶき者”宇髄天元 型破りなダンディズムの魅力

『鬼滅の刃』宇髄天元の魅力に迫る

既成概念を破壊できるのは“かぶき者”だけ

 だが炭治郎は、その場に残って天元とともに戦う道を選ぶ。そして、鬼の毒に冒されてボロボロになりながらも、「人間様を舐めんじゃねぇ!!」と強がって啖呵を切るこの鬼殺隊きっての“かぶき者”の姿に、「心を燃やせ」といって散華した熱き「炎柱」――煉󠄁獄杏寿郎と同じ鬼殺隊隊士の誇りを見るのだ。

 結果的に天元と炭治郎たちは、百年ものあいだ停滞していた上弦の鬼との戦いに風穴をあける。戦いのさなか、天元はいう。「ド派手に行くぜ」。そう、いつの時代でも、どんな場所でも、凝り固まった既成概念を破壊することができるのは、「ド派手」な“かぶき者”だけなのだ。

※参考文献:『「ばさら」と「ばさら」大名』澁澤龍彦/『華やかな食物誌』(河出文庫)所収

■島田一志
1969年生まれ。ライター、編集者。『九龍』元編集長。近年では小学館の『漫画家本』シリーズを企画。著書・共著に『ワルの漫画術』『漫画家、映画を語る。』『マンガの現在地!』などがある。@kazzshi69

■書籍情報
『鬼滅の刃(9)』
吾峠呼世晴 著
価格:本体440円+税
出版社:集英社
公式サイト

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