『鬼滅の刃』最強の柱・悲鳴嶼行冥の信念ーー盲目の剣士の“強さの秘密”に迫る

最強の柱・悲鳴嶼の信念

 『週刊少年ジャンプ』本誌にて、炭治郎や柱たちと無惨との死闘が続いている『鬼滅の刃』。本稿では先々週、第197話のラストで立ち上がり、再び無惨のもとへと向かった最強とうたわれる柱・悲鳴嶼行冥について改めて紹介したい。

 悲鳴嶼は岩の呼吸の使い手の岩柱。身長220センチ・体重130キロ、筋骨隆々の巨漢でありながら、身軽さ俊敏さも兼ね備える。武器は幅広な斧型の刀身に鉄球が鎖で繋がれる特徴的な日輪刀。参の型・岩躯の膚では、鎖を自在に操り縦横無尽に刃を振るい、相手の攻撃を切り裂く。彼は痣者であり、赫刀も発現させている。盲目であるが、鎖を振り鳴らす音の反響で空間や動きを極めて正確に把握できる。そのため、戦闘の前線ではしばしば指揮をとる。連携プレーの戦闘描写が持ち味の本作において、悲鳴嶼が指揮をとってきた黒死牟戦や無惨戦では彼の特性が遺憾なく発揮されているため、攻防の駆け引きが特に見物だ。

 悲鳴嶼の類いまれな集中力は、盲目のハンデを活かしたものだと考えられるが、普段の訓練で“反復動作”を利用しているからでもある。“反復動作”とは、集中を極限まで高めるために予め決めておいた動作をすること。悲鳴嶼の場合は念仏を唱える。その際、怒りや痛みの記憶を思い出し、心拍と体温を一気に上げられる。そうすることで、いつでも一瞬で集中を極限まで高められるのだ。

 “反復動作”の際、悲鳴嶼は寺で身寄りのない子どもたちを育てていたときのことを思い出しているのだろう。そこでは、皆血のつながりこそ無かったが、互いに助け合いながら家族のように暮らしていた。しかし、ある夜、言いつけを守らず日が暮れても寺に戻らなかった子どもが鬼と遭遇し、自分が助かるために他の子どもたちを犠牲にした事件が起こる。

 悲鳴嶼はその際、鬼を素手で倒したことから自分の強さに目覚めた。幼女の沙代を守ろうとした結果の行動だった。しかし、彼女は気が動転していたことから、悲鳴嶼が子どもたちを殺したかのような証言をし(単行本では、沙代は悲鳴嶼に助けられたことを自覚していたが、幼さゆえにうまく説明ができなかったと作者が解説している)、彼は殺人の罪で投獄される。その後、鬼殺隊の当主産屋敷耀哉に助けられたことで、鬼狩りを決心したのだ。悲鳴嶼は当時十八で、耀哉は十四だった。

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