『ゴールデンカムイ』杉元佐一はただの“パワー系”ではない 頭と体を最大限に働かせる戦闘方法に迫る
『ゴールデンカムイ』234話(『週刊ヤングジャンプ』2020年17号)にて杉元らは白石の提案により、石狩川を渡る蒸気船で江別(えべつ)まで下っていくことに。
初めての船に嬉しそうな顔を見せる杉元とアシリパ。歌志内(うたしない)から離れ、次はどんな壁が待ち受けているのだろうか。続々と刺青人皮が揃っていくも、まだ彼らに“平穏”の二文字は見られない。海賊房太郎を求めて彷徨う杉元一派だが、実際に顔を合わせてしまえばどんな戦いが繰り広げられるのか? かつての杉元の戦いを振り返ってみよう。
杉元佐一の戦闘方法
日露戦争帰りの杉元は鬼神のような戦いっぷりで、“不死身の杉元”の名は伊達ではない。瀕死の傷を負っても翌日には走り回っていた、なんて逸話もあるようで、恐怖に屈しない姿が特徴的だ。さらに冷静な性格ゆえの落ち着きは、読者にゾッとするような印象さえも与える。『ゴールデンカムイ』一話目からその大物ぶりは健在で、老人に銃を突き付けられても顔色一つ変えなかった。
基本的にじわりじわりと相手を責め立てる戦いはせず、真っ向から向かっていくのが杉元のスタイル。狙撃手の尾形百之助とは対照的な戦い方である。ヒグマにも真正面から向かい、いきなりパンチをお見舞いしたのは読者も驚いたはず。もちろん牛山辰馬ほどの巨体ではないので、さほど効果はなかったものの……精神力の強さが伺える。並みの心臓では出来ないだろう。
だが何も考えずに、真正面から突っ込んでいるわけではない。頭と体を最大限に働かせているため、ただの“パワー系”とは一味も二味も違うのだ。第七師団に捕らわれた時も脱出のために一瞬ではらわたを盗み、重傷者を演じた。あの切羽詰まった状況でその発想が出てくることに、感動さえ覚えるレベルである。頭脳だけにも、肉体だけにも偏らない、パーフェクトな戦いぶりで前へ進む杉元佐一。日露戦争の経験を活かし、生き延びた人物だからこそなせるワザなのかもしれない。いざ海賊房太郎と対面した時、どのような戦いになるのか? 期待に胸が膨らんでしまう。