小説版『ひとよ』から読み解く、タイトルに込められた3つの意味 家族のあり方に正解はあるのか?
家族に「正解」はあるのか?
稲村家は、あまりにも特殊な過去を持っている。家族の再生は、離れ離れだった間の時間を埋める、なんていう生ぬるい作業とはいかないだろう。兄弟の、母の、それぞれの苦しみを互いに背負わなくてはならない。悔悟の念を吐露することも、恨みつらみを言い募ることも、衝突することも必要だろう。それが15年分もある。
「正しい家族のあり方」なんてものは、この世に存在するのだろうか。家族が人で構成されている限り、家族は変わり続ける。どんな事情を抱えていようと。それは我々も「稲村家」も同じであるはず。
■まさみ
フリーライター。漫画・ゲーム・読書など主な趣味はインドア。広告代理店でコピーライターとして勤務後、独立。食らいついたものは、とことん掘り下げるタイプ。 @masami160206
『ひとよ』
長尾徳子 著
桑原裕子 原作
価格:640円(本体)+税
発売:集英社
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