怒髪天が仲間たちと叫んだ『テイチクよ今夜も有難う』 一夜限りのスペシャルな祝祭、徹底レポート!

『テイチクよ今夜も有難う』徹底レポート

 テイチクエンタテインメント90周年×怒髪天40周年共同企画 『テイチクよ今夜も有難う』が2月2日・渋谷 Spotify O-EASTで開催された。大御所、ロックボーカリスト、お茶の間の人気者、“SUPERなシークレットゲスト”と怒髪天の共演は、素晴らしい瞬間をたくさん作り上げた。一夜限りのスペシャルライブの模様をレポートする。

 開演前からウキウキしたムードが漂っていた会場内。BGMで北島三郎「まつり」が流れると、観客のあいだから起こった陽気な手拍子。そして開演を告げるSEが鳴り響くと手拍子の勢いはさらに増して、怒髪天の増子直純(Vo)、上原子友康(Gt)、坂詰克彦(Dr)を出迎えた。オープニングを飾ったのは「ザ・リローデッド」。熱いバンドサウンドに包まれながらマイクを握り、嚙みつくかのように歌う増子の声がやんちゃに躍動する。掲げた腕を振りながら大合唱する観客の熱量が早くもとんでもない。続いて「GREAT NUMBER」に突入すると、ステージに向かって押し寄せた無我夢中の掛け声。初っ端から怒髪天のパワーをまざまざと体感させられた。

テイチクエンタテインメント90周年×怒髪天40周年共同企画 『テイチクよ今夜も有難う』(撮影=新保勇樹)
増子直純(Vo)

テイチクエンタテインメント90周年×怒髪天40周年共同企画 『テイチクよ今夜も有難う』(撮影=新保勇樹)

テイチクエンタテインメント90周年×怒髪天40周年共同企画 『テイチクよ今夜も有難う』(撮影=新保勇樹)

 オープニングの2曲のあとは、「テイチクエンタテインメント 90周年・怒髪天 40周年ライブ」ならではの共演が続いた。最初に登場したa flood of circleの佐々木亮介は、「HONKAI」を増子と並んで歌った。サビでふたりのユニゾンの歌が響き渡ると、フロアから起こった歓声。佐々木の硬派な質感の歌声が、怒髪天の曲に新鮮な輝きを添えていた。「やっぱロックスターっぽいよね。俺ら、忘れかけている部分があるのかもしれない(笑)。ホットドックとか売ってそうじゃん?」――ライダースジャケットを着ている佐々木とは対照的に、自身が“屋台のおじさん”のような服装であることを増子がぼやいてから披露された「屋根の上のハレルヤ」は、a flood of circleの曲。佐々木はギターを弾きながら歌い、増子もロマンチックなメロディを歌い上げた。上原子のブルージーなスライドプレイがかっこいい。至高のグルーヴ、血が滾るかのようなソウルが脈打つ怒髪天の演奏は、ほかのアーティストの曲であっても冴え渡っていた。

 2人目のゲストは中田裕二。中田が軽くステップを踏みながら増子と一緒に歌った「己DANCE」は、実に妖艶だった。「40周年おめでとうございます。今日はいろんなミュージシャンのいろんなジャンルを演奏するんですよね。(そんなことは)怒髪天じゃないと無理ですよ」と言い、出演を喜んでいた中田。増子は「やっぱり歌上手いなあ」と感心していた。そして、「中田くんの曲を歌わせてもらいます。色っぽい。リズムの取り方から腰にくる。俺のなかにないリズムだから」と言っていた2曲目「誘惑」も、ふたりの歌声が心地好く融け合った。増子の歌が中田とはまた別の形の色香を漂わせていたのが思い出される。観客が耳を傾けながらうっとりと瞳を潤ませる風景は、怒髪天の普段のライブではなかなか生まれない。怒髪天のアルバムタイトルを引用するならば“オトナマイト・ダンディー”な魅力を振りまく共演だった。

 赤色のベースを手にしながら登場したのは、はなわ。最初に披露されたのは「佐賀県」。はなわ&寺岡によるツインベースが躍動し、佐賀県に関するトピックがユーモラスに歌い上げられた。この曲がヒットしたのは2003年なので、それからはすでにさまざまなことが変化している。歌詞で歌われていた牛丼屋は昨年閉店し、跡地には新たなドラッグストアがオープン。甲子園で優勝した佐賀北高校の試合を何度も再放送……などなど、2番には最近の佐賀が反映されていた。「怒髪天が佐賀にきたらアテンドしますので。アリーナができましたので、ぜひともアリーナでやっていただきたいです」(はなわ)――歌い終えたあとも息の合ったやり取りで観客を沸かせていたふたりであった。

 「中学の頃からずっと聴いてるバンドでございます。バンドデビュー35周年を迎えまして、ますます精力的な活動をしています。LINDBERGのボーカル、渡瀬マキさんがきてくれます!」――はなわが強い想いを語り、増子と一緒にタイトルコールをしたのを合図に「今すぐKiss Me」がスタート。笑顔を輝かせながら渡瀬が歌い始めた。リリースされた1990年は、怒髪天がこの曲の伴奏を務める日がやってくるなんて誰も想像していなかったはずだ。当時の怒髪天は、まだ最初のメジャーデビューもしていない。予想もしていなかった縁が巡ってくるのも、音楽活動を積み重ねる醍醐味なのだと思う。怒髪天が結成40周年を迎えたことに、あらためて感慨深くなるステージだった。

 「次のゲストをご紹介しましょう。1977年、テイチクレコードからデビュー。我々の『オトナノススメ 〜35th 愛されSP〜』にも参加していただきました」――増子に紹介されてステージに登場した川中美幸を大歓声が包んだ。最初に届けられたのは、大ヒット曲の「ふたり酒」。イントロが奏でられるなか、「(ラインナップから)ちょっと浮いてない? 大丈夫?」と彼女は言っていたが、歌声を響かせた瞬間、観客は完全に魅了されていた。耳を傾けると、愛し合うふたりがお酒を酌み交わしてツラい日々を乗り越える姿が豊かにイメージできる。歌で人生を切り拓いてきたプロフェッショナルの凄みに満ちた表現力だった。続いて、昭和の頃から愛されているデュエット曲の定番「銀座の恋の物語」。増子が選んだこの曲は、オリジナルのカラオケ音源を使用しての披露によってレトロな雰囲気を醸し出していた。声を交わしながらふたりが浮かべる表情が、実に楽しそう。歌い終えた直後、「色っぽい艶のある歌声」だと増子は感動していた。そしてラストに届けられたのは、川中が2017年にリリースしたカバーアルバム『美幸のおとこ唄』に収録された怒髪天のカバー「ニッポン・ワッショイ」。赤い法被を羽織った上原子と坂詰が合流し、手拍子をしながら観客を盛り上げて、盆踊り会場のような陽気な空間を作り上げた。川中と増子の歌声の相性は抜群なのだと思う。歌うピュアな喜びに満ちたふたりの姿を観ていると、和やかな気持ちになった。

テイチクエンタテインメント90周年×怒髪天40周年共同企画 『テイチクよ今夜も有難う』(撮影=新保勇樹)
坂詰克彦(Dr)

 再び怒髪天の演奏がスタートすると、ラメで彩られた衣装とサングラスを輝かせながら山本譲二が登場。最初に届けられた「止まらないHa~Ha~」は、矢沢永吉の名曲のカバー。演歌で磨き抜かれたこぶしが、熱いソウルと化していた。キメどころで観客が投げ上げて宙を舞ったタオル。意表を突く選曲だったが、猛烈にわくわくさせてくれた。「怒髪天がいて山本譲二がいるんです」(山本)、「逆じゃないですか!」(増子)――絶妙なテンポで繰り広げられるふたりのトークも楽しい。「国民的ヒットのこの曲を一緒に歌わないわけにはいかない」(増子)、「僕の命の次に大事なのは孫です。その次に大事なのが家族で、その次に大事な曲をお届けします」(山本)という言葉が添えられて「みちのくひとり旅」が披露された。山本による1番を経て2番を歌い始めた増子の声が、曲によく合っている。悲しみを背負った男性の想いが、哀愁のメロディに乗せて響き渡った。サビのユニゾンで溢れ返った男くさい情感にも痺れずにはいられない。歌い終えて「どうもありがとうございました!」とステージをあとにした山本を、観客の大きな拍手が見送った。

 「次のゲストは1984年の結成から41年目。現在も毎年全国ツアーを開催するなど、パワフルに活躍しています。リハから圧巻でした」と増子に紹介されて登場したのは、PERSONZのボーカリスト・JILL。怒髪天の伴奏で「DEAR FRIENDS」が届けられた。上原子のアルペジオに合わせて響く歌声に加わった観客の大合唱。落ち着いたトーンの1コーラスを経てベース、ドラム、キーボードも合流。一気に疾走感を増したバンドアンサンブルが、会場を爽やかに震わせた。観客の熱量を全身で受け止めて歌うJILLが雄々しい。PERSONZと怒髪天は、ほぼ同期。ライブハウスで戦いながら鍛え抜かれた歌声をステージ袖で聴いていた増子は、「素晴らしい!」と心からの賛辞を贈っていた。

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