怒髪天、ライブの原点を再認識したステージ the pillows 山中さわおも迎えたツアー東京公演

怒髪天、ライブの原点を再認識したステージ the pillows 山中さわおも迎えたツアー東京公演

 最新アルバム『ヘヴィ・メンタル・アティテュード』を携え、2月から全国ツアー『ヘヴィ・メンタル・アティテュードツアー 2021 ~Mr.ジョーク参上~』を行ってきた怒髪天。5月29日の恵比寿LIQUIDROOM公演は、その最終日となるはずだった。しかし、緊急事態宣言の延長に伴う大阪府のイベント無観客開催の要請により、5月22日の大阪公演が8月26日に延期に。この日は大阪での1ステージを残してのツアーファイナルとなった。

 今回のLIQUIDROOM公演も、新型コロナウイルスの感染対策のため、本来のキャパシティの50%以下となる400人に動員数を限定。前方のフロアは椅子席となっていた。だが、開演を告げるオープニングSEで「男祭」が流れると、場内には手拍子が沸き起こり、早くも総立ち状態に。そして「よっしゃ!」という増子直純(Vo)の声を合図に、「スキモノマニア」でライブがスタート。怒髪天らしいファンへの“歓迎の歌”のような楽曲で、〈まったく可愛いヤツらだぜ まとめてかかって来い来い来い来い!〉というフレーズに、観客のテンションは、いやが上にも高まっていく。歓声はなくても、“この瞬間を待っていた!”という空気感が会場中に充満しているのを感じる。

 その後も「や・め・と・き・な」などの軽快なナンバーを間髪入れずに投入。「オトナノススメ」では、「バン ババン!」というキャッチーな掛け声でオーディエンスとの一体感をさらに強める。清水泰次(Ba)は所狭しとステージを飛び跳ね、上原子友康(Gt)と坂詰克彦(Dr)は満面の笑みをみせる。楽器を鳴らすことが楽しくてしかたがない、といった表情だ。客席も、ダイレクトな音の鳴りを全身で受け止めて体を揺らしたり、リズムに合わせて腕を左右に振ったりとそれぞれに楽しみ、サウンドの渦に浸っている。怒髪天のライブの真髄は「いつも全力」。距離が近い空間ということもあるが、彼らのその無骨さが肌で感じられ、ファンとの“対話”をいっそう密なものにしている。

 序盤のMCで増子は「久しぶりじゃない? ホントによく来てくれたね。うれしいよ。今、世間的には、家でおとなしくしてる方が文句言われないと思う。よくこの状況の中、来てくれました。もうね、『オトナノススメ』でちょっとグッとくるとは思わなかったね」と語りかけ、既に感無量といった様子だ。それはまるで「久しぶりに遊びに来てくれた親戚の子供を迎えるおじいちゃんの気分(笑)」だといい、笑いを誘う。

 この日は、新旧の楽曲を織り交ぜたバラエティに富むセットリスト。5月のライブの定番曲で1年ぶりの生披露となった「五月の雨」は、ギターの小気味いいリフが印象的に響き、増子も軽やかにステップを踏んで踊る。ハードなサウンドと激しいシャウトを繰り出す「美学」では、観客もジャンプで“応戦”し、フロアが揺れるほどのうねりを生む。

 特に、アルバム『ヘヴィ・メンタル・アティテュード』の収録曲には、コロナ禍を受けて制作されたと思われる楽曲が多く、ステージで体現されることでいっそうリアリティを増す。「SADAMETIC 20/20」は、ディスコ調のリズムや変則ビートを用いながら現代社会の混沌を表現。「ヘイ!Mr.ジョーク」は、“こんな時こそ全てを笑い飛ばせ!”といった痛快さとポジティブマインドに溢れ、それが会場全体に波及していく。

 続いて、ここで坂詰によるブレイクタイム。「キング オブ ジョーク」である坂詰が王冠を被り、史上最強のジョークを放つ、というものだが、その微妙な下ネタに、増子から「いい加減にして!」とツッコミが入る。このやりとりで、場内は和やかなムードに。

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