高見沢俊彦、宮野真守、つるの剛士らがウルトラマンゼロ15周年を祝福 熱いステージで確かめ合った“絆の美しさ”

ウルトラマンゼロ15周年ライブレポ

 ウルトラマンゼロが初登場した2009年を境に、ウルトラシリーズは大きな転換を迎えた。

 やんちゃで気が強くて、1人で突っ走っていきそうなアツさと自信を持ちながらも、心の奥には不安や孤独を抱えており、大切なものを少しずつ増やしていくことで、不器用ながらも“ウルトラマンらしく”なってきたゼロの成長には、思わず感情移入してしまう視聴者も多いだろう。“ウルトラセブンの息子”としてスクリーンに初登場した時のインパクトは忘れられないが、そんなゼロも今ではニュージェネレーションシリーズの後輩ウルトラマンたちから慕われる兄貴分にして、ウルトラシリーズそのものの顔になった。次元を超えて宇宙を旅し、様々な局面に駆けつける仲間想いなゼロこそ、ウルトラシリーズという壮大なスペースオペラの象徴だと言っていい。

 そんなウルトラマンゼロの登場から15周年を記念して、アニバーサリーライブイベント『ULTRAMAN MUSIC LIVE ウルトラマンゼロ15周年~Beyond the STARS~』が3月11日に東京・Zepp Haneda(TOKYO)で開催された。

 ゼロの登場作品をはじめウルトラシリーズに多数の楽曲を提供しているtakamiyこと高見沢俊彦(THE ALFEE)、15年間にわたってゼロの声を担当してきた宮野真守、『ウルトラマンダイナ』でアスカ・シン役を演じたつるの剛士、『ウルトラマンサーガ』でタイガ・ノゾム役としてゼロに変身したDAIGO、数々の歴代シリーズ主題歌を歌唱し『ウルトラマンX』にも出演したvoyager(TAKERU、瀬下千晶)など、豪華アーティストが集って熱いステージが繰り広げられた。終始ゼロへの祝福ムードに包まれていたことはもちろん、ウルトラマンを通して繋がってきた“固い絆”が垣間見える、美しい1日となった。

ウルトラマンゼロ

高見沢俊彦、必殺光線の如きギタープレイで名曲を熱演

 まず何よりすごいのは、この日のステージを盛り上げ続けた超人・高見沢俊彦のウルトラ愛に満ちた熱演。オープニングを飾った「ゼロの覚醒」(『ウルトラマンニュージェネレーションスターズ』主題歌)や「Rising High」(『ウルトラマン列伝』主題歌)など、自身の手がけた主題歌をはじめ、THE ALFEE名義の楽曲、ソロ名義の楽曲まで惜しげなく披露。ゲストアーティストが入れ替わる中で、セットリスト全17曲中、実に13曲を高見沢が演奏または歌唱してみせた。楽曲ごとに個性的なギターに持ち替える高見沢の姿は、まるで必殺技の宝庫=ウルトラマンAのよう。しかも、ゼロ仕様のスペシャルギターには、ゼロスラッガー風のカポタストまでついているこだわりぶりに驚いた。ウルトラマンギンガがステージに駆けつけた「Legend of Galaxy ~銀河の覇者」(『新ウルトラマン列伝』主題歌)では、宮野と背中合わせになりながら美しいデュエットを聴かせた一方、バンドメンバーとのトリプルギター編成でソロが炸裂する瞬間なんて、必殺光線の連打みたいでものすごい迫力だ。

高見沢俊彦、DAIGO

 「ULTRA STEEL」(『ウルトラマン列伝』主題歌)などソロ曲を披露した本編終盤は、メロディックスピードメタルの如く、パワーと疾走感が入り混じった華麗なる演奏とハイトーン歌唱で圧倒。MCでは若さの秘訣について、「光る衣装に、変わったギター(笑)」と冗談半分に話していた高見沢だが、“リアルウルトラマン”の異名を持ち、御年70歳にして進化の止まらぬエネルギッシュなライブで魅了するその姿は、音楽界のウルトラの父……いや、ウルトラマンキングと呼んでいいかもしれない。

「ヒカリノキズナ」初披露 水木一郎の想いを継ぐ演出も

 そして、ライブを観ていて改めて感じたのは、ウルトラマンたちが紡いできた絆の美しさだ。特に目頭が熱くなったのは「GO AHEAD ~すすめ!ウルトラマンゼロ~」(『ウルトラマンゼロ THE CHRONICLE』主題歌)や「オーブの祈り」(『ウルトラマンオーブ』オープニング主題歌)。故・水木一郎が歌っていたパートを、それぞれつるの剛士、DAIGOが歌唱し、“アニキ”の想いをしっかりと受け継いで届けた(「オーブの祈り」を歌う際、瀬下千晶の「空にいるアニキ、そしてここにいる皆さんの声の力、お借りします!」というクレナイ ガイ風のMCが素晴らしかった)。父から子へ、師匠から弟子へ、そして次元を超えた仲間へ。希望のリレーを繋いできたのがウルトラマンゼロの15年間だったことを思うと、水木をリスペクトして歌い継がれたこの2曲は、目には見えなくとも、誰かを想い続けることの大切さを体現していたように思う。

つるの剛士
DAIGO

 そんな想いは、つるの&DAIGOのデュエットで本邦初披露された「ヒカリノキズナ」(『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』主題歌)にも受け継がれた。異色のバラードナンバーだが、こうして聴くとまるで水木に宛てた手紙のような曲にも聴こえるし、辛い現実でも一つひとつの出会いを大切にして〈未来〉へ向かっていこうという現代人への応援歌にも思える。どんな状況でも決して1人ではないことを思い出させてくれるのが、ウルトラマン楽曲の素晴らしさだ。

TAKERU(voyager)
瀬下千晶(voyager)

 また、つるのが変身アイテム・リーフラッシャーを高々と掲げ、応援に駆けつけたウルトラマンダイナと熱い抱擁を交わした「君だけを守りたい」(『ウルトラマンダイナ』エンディングテーマ)では、ゼロの盟友であり、宇宙で旅を続けるウルトラマンの先輩でもあるダイナの“らしさ全開”な演出に胸が高鳴った。「君だけを守りたい」は高見沢が1997年に作詞・作曲したシリーズ屈指の名曲。新たな激動の時代を迎えている今、〈世界は終わらない〉という叫びがますます切実な意味を帯びてきているようにも感じられた。

つるの剛士、ウルトラマンダイナ

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