岸優太が持つ七色の歌声 Number_iの音楽表現を支える“聴かせる”ボーカル、歌唱力の高さを紐解く

Number_iが3月21日放送の『ミュージックステーション 2時間スペシャル』(テレビ朝日系)、3月24日放送の『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)に出演し、新曲「GOD_i」を披露。そのパフォーマンス後に、「岸くんの歌声」といったワードがX(旧Twitter)でトレンド入りした。
実は今回に限った話ではなく、音楽番組出演時を中心に、岸優太の歌唱力の高さが叫ばれることはこれまでに何度もあった。岸といえば天然なキャラクターのイメージも浸透しており、なかには初めて歌を聴いてギャップを感じたという声もあれば、パフォーマンスを通してあらためて歌声の魅力を再確認する人も多いようである。加えて、直近で披露している「GOD_i」をプロデュースしたのが岸ということもあり、今回は特に彼の音楽スキルに注目が集まっているようだ。
「GOD_i」の岸のメインパートのなかでも印象的なのが、〈ねぇ未来の俺にお願いごと〉のフレーズだろう。ダンスブレイクを経て、ラストに向けて再び盛り上がっていく過程で登場する、この楽曲の重要なパートだ。オルガンやクワイアが壮大さを醸し出すなかで、まるで天に祈りを捧げるように伸びやかに響きわたる岸の歌唱は、たったワンフレーズで切実な想いを強く表現している。彼がぐっと感情を込めた時の歌声は、胸が締めつけられるようでいて、ずっと聴いていたくなるような魅力があるのだ。
「GOD_i」では岸の“聴かせる”ボーカルに触れられる一方で、過去のリリース曲では個性的なラップも話題になってきた。Number_iのデビュー曲「GOAT」では、1番のサビまでは低音をきかせた歌声を披露しているが、2番の〈タクシー乗るのにも一苦労な Artist〉からは少しおどけた声色に変化。続く〈君に見てほしいんだ/マジぶっちぎる Shooting Star〉のパートも、初めて聴いた時に複雑な譜割りを歌いこなす彼に驚かされた――が、デモ音源で歌声を吹き込んでいたPecori(ODD Foot Works)曰く「俺が入れたガイドと全く違うことをするのがKC(岸)で、これがめっちゃいいんですよ」(※1)とのことで、岸が自分の感性でこうした耳に残るパートを作り上げてきたことも窺える。