“ハロヲタ”天音かなた、山崎あおいにアイドルを輝かせる楽曲制作術を聞く 「枠に縛られないのがハロプロのすごさ」

天音かなた連載第2回:ゲスト山崎あおい

「カラオケを通して印税を送らせていただいております(笑)」(天音)

天音かなた
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天音:ステキな楽曲をたくさん作られている山崎さんが普段どんな音楽を聴かれているかも気になります。

山崎:普通にヒットチューン的なのも聴きますし、自分のやっている音楽から遠いところで言えば映画音楽はすごく好きですね。サウンドトラックをよく聴きます。

天音:へえ! それは洋画のものですか?

山崎:そうですね。洋画のサウンドトラックが多いです。それこそハリウッドのドーン!みたいな感じのものもよく聴きますし。私は映像にマッチする音楽が好きなんだと思います。自分の曲を作るときも映像からイメージして書いたりすることが多いんですよ。誰かのミュージックビデオを、音をミュートした状態で流しながら、「ここにはどんな音楽が流れているんだろう?」って想像しながら曲を書いていくっていう。視覚から入ってきたものをインスピレーション元にすることが多いんですよね。

天音:その作り方はすごい! 僕にとっては想像もしなかったやり方なので今、感動しています!

山崎:めっちゃいいですよ。曲が生まれやすいと思います。

天音:いいアイデアをひとついただきました! ぜひ試してみようと思います。

山崎:天音さんはどうやって楽曲を作っているんですか?

天音:僕はまだまだ曲作りに関しては素人なので、うんうん唸りながらコード表とにらめっこしながら作っていく感じですね。「いいメロディが降りてきた!」みたいなことは全くなく。常に難産です。

山崎:楽器は使うんですか?

天音:最近、ギターを頑張って練習してるんですけど、まだ全然上手く弾けるレベルではなくって。なので基本はDTMの打ち込みで作ります。

山﨑:へえ、すごい! 最近よく思うんですけど、楽器が弾けるがゆえの縛りみたいなものって絶対にあると思うんですよ。自分の手癖のコード、弾きやすいコードばかりを使ってしまいがちになるというか。でも今って、楽器は弾けないけどパソコンで自由に音楽を作れるボカロPやトラックメイカーの方々がたくさんいて、すごくおもしろい曲を生み出しているじゃないですか。私にはできないなと思うことをみなさんやられている。そういう意味では天音さんが楽器をマスターする前にDTMで曲作りを始めたのはすごく羨ましいことだなってすごく思いますね。

天音:確かにそうかもしれないですね。僕は音楽理論がわからないし、むちゃくちゃなコードをすごいタイミングで使ったりすることもあると思うんですけど……。

山崎:それが逆に個性になることもありますからね。

天音:そうですね。おもしろさに繋がることもあると思うし。山崎さんにそうおっしゃっていただけるとすごく勇気が出ます。とは言え、今のVTuberの活動の中で楽曲制作をたくさんやっていくのはなかなか難しいところもあって。もっとたくさん楽器を練習したり、楽曲制作をしていきたいなって思ったりしてるんですけど(笑)。

山崎:天音さんの音楽的なルーツも知りたいです。どんな音楽を聴くのかとか、なぜ曲を作ろうと思うようになったのかとか。

天音:僕は青春時代にずっとパソコンをやっていたタイプで。ニコニコ動画をずっと見ていたし、先ほど山崎さんがおっしゃられたボカロも黎明期から触れてきていたんです。プロではない方が作った楽曲であっても、それがよければネットを通してみんなでワーッと盛り上がれる世界が本当に楽しかったので、自然と自分も曲を作ってみたいと思うようになったんですよね。ただ昔はDTMの機材が高くて手が届かなかったので、今になってやっと夢が実現できるようになった感じですね。

山﨑:しかも今の天音さんにはたくさんのファンの方がいらっしゃいますから。届ける先が明確に見えていると、楽曲制作へのモチベーションも変わってきますよね。

天音:もうおっしゃる通りすぎます! 僕のファンのみんなは、僕が作曲に挑戦していることを喜んでくれている節があるので。みんなが「天才!」とか言ってくれると、また頑張って作ろうかなっていう気持ちになるんですよね。

山﨑:「天才」って言ってくれる人がいるのはいいですね(笑)。

天音:えー山崎さんも天才じゃないですか! 本当にステキな曲ばかりを作られていますもんね。

山﨑:あははは、ありがとうございます。褒め合っていきましょう(笑)。

天音:山崎さん、ほんとにすごいから! 最初に言いましたけど、僕は本当に「「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?」が大好きすぎて、一時期狂ったように聴きまくっていたんです。すべてが完璧すぎる、最高だと感動してしまって。何度もカラオケを通して印税を送らせていただいております(笑)。

山崎:ありがとうございます(笑)。チャリーン!

天音:チャリーンさせていただきました(笑)。で、あの曲を聴いていて感じたんですけど、タイトルとか歌詞にハロプロ味がすごく詰まっているじゃないですか。そのあたりは意識なさっているんですか?

山崎:それはたぶん、私のカラダにハロプロの要素がインストールされてるから無意識に出ているところだと思うんですよね。ハロプロを意識してタイトルをつけるというよりも、ハロプロだったら許されるかなと思ってつけるタイトルはけっこうあったりはするんですけど。

天音:あーなるほど!

山﨑:例えば「「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?」ってタイトルを他のアイドルさんの曲につけると、アルバムに入ったときに1曲だけ毛色が違いすぎて浮いてしまう可能性があると思うんです。でも、いろんな楽曲が揃っているハロプロの場合なら大丈夫だよなって思えるというか。そういう意味ではすごく自由に曲を書かせていただけているような気がしますね。

天音:モーニング娘。さんの「この地球の平和を本気で願ってるんだよ!」って曲もあったりしますもんね(笑)。地球の平和を願ってるのはすごくハロプロ感がある。

山﨑:そうですね。ハロプロ以外のアーティストさんに向けて、そういうタイトルの曲を書く勇気はなかなか出ないですよね。

天音:枠にとらわれない、めちゃくちゃ広い視点で世界を歌えるのはハロプロっぽさのような気がしますよね。

山崎:宇宙、地球規模の話があったかと思えば、逆に100円ショップが出てくるようなすごく身近な話があったりもしますしね。J-POPはこういうことを歌うべきだよね、みたいな枠に縛られないのがハロプロのすごさだと思います。私は元々そういうタイプの人間ではなかったけど、ハロプロに曲を書かせていただいたり、ライブに足を運ばせていただく中で、徐々に影響を受けてきたところも大きいような気がしますね。ハロプロらしい物差しが自分の中にちょっとずつ生まれつつあるなって最近はすごく感じていますね。

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