松浦亜弥に続く“国民的ソロアイドル”、なぜ令和に不在? グループ優位になった背景を解説

“国民的ソロアイドル”が令和に不在の理由

  11年ぶりにテレビCMに出演し、話題をあつめている松浦亜弥。2013年以降、芸能活動は休止状態だが、2022年1月にはマシュー南のポッドキャスト番組『Matthew's Matthew マシュー南の部屋の中のマシュー』に出演するなど、少しずつではあるが動きを見せ始めている。

  松浦が久々にCM出演を果たしたタイミングで、以前より称されていた「平成最後のソロアイドル」というワードもSNSで再び散見された。歌手活動を中心とした平成の女性ソロアイドルといえば、松浦のほか、鈴木亜美(旧・鈴木あみ)、藤本美貴らがパッと思いつく。ただ鈴木は2001年から約1年の活動休止をはさんで以降はアイドル色が薄らぎ、藤本は2003年にモーニング娘。に加入したことでグループの一員としてのイメージも強くなった。

 広末涼子や3M(宮沢りえ、観月ありさ、牧瀬里穂)も歌手活動をおこなっていたとはいえ、彼女らはやはり俳優であり、ソロアイドルとは呼びづらい。きゃりーぱみゅぱみゅも一部ではアイドルに括られることがあったが、どうにも違和感がある。そういった点も踏まえると、ソロアイドルとして一貫し、平成を駆け抜けたのはやはり松浦であり、「平成最後のアイドル」という呼び名にふさわしいのではないだろうか。

 もちろん、メジャー、インディーズにはほかにもたくさんのソロアイドルが存在する。ただ国民的な存在というところでは、松浦に及ぶ者はいない。現在に至るまで、彼女に続くようなソロアイドルは不在である。なぜ、令和の時代に国民的なソロアイドルが出てこないのか。

テレビの変化がグループアイドルを有利にした?

 よく言及されていることだが、テレビ番組の変化がまず挙げられる。テレビがメディアの軸だった1980年代は音楽番組が多く、アイドルが多数出演して繁栄につながっていた。ソロアイドルはその中心にいたが、1990年代に入って音楽番組が減り、その限られた枠を小室ファミリー、ヴィジュアル系バンドなど流行のミュージシャンが埋め尽くした。一方、アイドルシーンはちょうど過渡期を迎えて「冬の時代」に突入し、かつてのような露出機会を失っていった。ここで昭和後期から続いていたソロアイドルブームも一旦、リセットされた感があった。

 2000年代以降、インターネットが人々の生活に浸透したことでテレビは黄金期を終えた。とは言え、まだまだ影響力の高さは健在だった。しかしテレビが地上デジタル放送へと切り替わり、画面もワイド化。たくさんの出演者を集めた方が、見栄えがより良くなるようになった。ひな壇芸人という言葉が流行語にもなるほどだ。これはあくまで筆者個人の考察だが、どの番組を見ても大人数のタレントがずらりと並ぶ光景が当たり前になり、それを華やかに感じるようになったことで、アイドルを見るときも無意識的に、ソロより大人数のグループアイドルの方に興味がなびくようになったのではないだろうか。

 大人数のAKB48グループや坂道シリーズの出演番組はまさにその象徴だった。冠番組では、画面上を大勢のメンバーが賑わせた。さらに手数がたくさんある分、企画の選択肢も増え、撮れ高も多くなる。番組構成的にもグループは強みとなる部分が多い。テレビなどメディア面に関しては、グループアイドルの方が優位に働くのではないか。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる