モーニング娘。、松浦亜弥、藤本美貴、Berryz工房……映画『あの頃。』を機に楽しみたいハロプロ楽曲

映画『あの頃。』を機に楽しみたいハロプロ楽曲

 今泉力哉監督の新作映画『あの頃。』が公開中。モーニング娘。がJ-POP界を席巻していた2004年の大阪をはじまりに、ハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)に人生の全てを捧げたハロヲタ仲間たち「ハロプロあべの支部」の青春のひと時が描かれている。自身もハロヲタである、劔樹人の自伝的コミックエッセイを映画化した本作は、ハロヲタを裏切らないリアリティが随所に追及されているのも見どころ。時代や出来事を照合しながら選ばれた映像やポスター、コンサートグッズなどをみると、一気に当時の景色や熱気が蘇ってくるようだ。はじめに断っておくと、本作はハロプロを題材にした青春映画。何かに夢中になったことのある人なら、胸をつかまれるような思いになるだろう。しかし、この映画をきっかけにハロプロに興味を持ったり、あの頃の熱が思い出されたりした人がいるならば、西野(若葉竜也)の言うところの、まさに「ハロプロを広められる大チャンス」。ここでは、映画で登場したハロー!プロジェクトの楽曲を振り返りたい。

 2004年付近というのは、モーニング娘。にとって一つの大きな転換点だった。2003年1月に6期メンバーとなる亀井絵里、道重さゆみ、田中れいな、ソロとして活躍していた藤本美貴が加入。そして、デビュー時からセンターポジションを任されることが多かった不動のエース・安倍なつみが2004年1月にグループから卒業。つんく♂が「安倍卒業はある種の区切りだった」と語ったように(※1)、「LOVEマシーン」や「恋愛レボリューション21」など数々の大ヒット曲を打ち出していた全盛期が、少し落ち着いた頃だった。後藤真希・松浦亜弥・藤本美貴によるユニット・ごまっとうや、辻希美と加護亜依によるユニット・W(ダブルユー)など本体以外のユニット活動も盛んだった。

 主人公の劔(松坂桃李)が魅了された、松浦亜弥5枚目のシングル『♡桃色片想い♡』が発表されたのは2002年2月。歌が上手くて顔も整っている、完璧なアイドルであった“あやや”はデビューの「ドッキドキ!LOVEメール」からヒット曲を連発し、この曲でお茶の間に存在を知らしめた。劔がCDショップに駆け込むと、そこには2004年1月1日に発売された3枚目のアルバム『×3』が並んでいる。若くて、元気いっぱいのイメージが強かったあややが、少しずつ大人な路線へと進んでいく時期だった。劔が握手会に参加する「渡良瀬橋」は、事務所の先輩である森高千里の名バラードをカバーしたもの。これまでのイメージとはまるで違う方向性だったが、あややの伸びやかな歌声と抜群のリズム感で切なさを感じられる素晴らしい楽曲となっている。後々、竹内まりやが山下達郎のラジオ『JACCS CARDサンデーソングブック』(TOKYO FM)で「20代の女性歌手で一番歌が上手いのは松浦亜弥ちゃん」と絶賛したように、彼女の歌唱力の高さを味わえる楽曲の一つだろう。

 劇中、大学の学園祭に出演した「ハロプロあべの支部」が講演の最後に流すのが藤本美貴の「ロマンティック 浮かれモード」。ソロ活動をわずか約1年で終えた“ミキティ”にとって、通称「ロマモー」は『紅白歌合戦』にも出場した代表曲だ。原作では、当時は後藤真希の「スクランブル」を流したようだったが、オタクの間で鉄板の打ち曲(ヲタ芸を披露できる曲)である本曲に変更した辺りがにくいと感じる。土下座からはじまり、頭上でクラップをしながら飛び跳ねる「マワリ」や、ヲタ芸の代表的なアクションである「ロマンス」が次々に打たれていく様や特別なコールは、当時のファンの盛り上がりの象徴だ。また、『ハロー!プロジェクト・キッズ オーディション』から大々的にデビューした、Berryz工房の「あなたなしでは生きてゆけない」にも触れている(西野はグッズTシャツも着ている)。オリエンタルなイントロと切ないストリングスに重なる声の幼さのギャップが特徴的で、ハロプロらしさを感じる中毒的な楽曲だ。

Berryz工房「あなたなしでは生きてゆけない」 (MV)

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